恒久財源に「法人税」は避けて通れない

 防衛力の抜本的強化で、防衛装備と一体的に審議される『財源』問題。日本経済団体連合会の十倉雅和会長は「防衛・安全保障は日本国民全員が裨益者であるから、防衛費も国民、社会全体で広く薄く負担するのが適切」と記者会見で強調。

 財源に法人税が上がっていたことに「企業には強靭な日本経済を構築するために国内投資や賃上げが強く求められている。日本の経済・社会・財政状況を総合的に勘案し、日本経済の持続可能性も踏まえて、バランスのとれた議論がなされることを期待したい」と法人税に関しての切り込みをけん制した。

 有識者会議はこうした声を反映してか、政府への「報告書」には「多くの企業が国内投資や賃上げに取組んでいる中、企業の努力に水を差すことのないよう、議論を深めていくべき」と経団連の意向そのままを代弁する文言が記された。

 しかし「企業には強靭な日本経済を構築するために国内投資や賃上げが強く求められている」としながら、2018年度から21年度の間に資本金10億円以上の大企業5000社の業績を分析した駒沢大の小栗崇資教授の分析(赤旗日曜版10月2日号)によると、売上は3年間に46兆円落ち込んでいる中でも、当期純利益「2兆円増」、株主配当「3兆円増」、内部留保(利益剰余金)「22兆円増」となっているのに、従業員の給与増加額は「ゼロ」だった。この実態をどう見るのか。

 法人税に関しては中小企業を除き28%に戻し、大企業優遇税制を廃止ないし縮小すれば8兆円捻出できるとの試算もある。恒久財源確保を図るには法人税への切り込みを避けて国民の理解は得られない。(編集担当:森高龍二)

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