反撃能力発動に政治レベルの関与の議論が必要

 国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議は22日、岸田文雄総理に報告書を手渡した。「反撃能力」(敵基地攻撃能力)の発動について「事柄の重要性にかんがみ、政治レベルの関与の在り方についての議論が必要」と明記。外国製ミサイルの購入を含め「今後5年を念頭に、できる限り早期に十分な数のミサイル装備をすべき」としている。

 また「リアルな継戦能力を高めることは抑止力と対処力向上につながる」とし「弾薬や有事対応に必要な抗たん性の高い施設などの戦力の基礎となる部分の着実な整備を」求めた。

 また「電力・通信インフラが攻撃される事態にどう対処するのか、計画を持っていないと抑止力は減殺されかねない」としている。

 財源に関して「今を生きる世代全体で分かち合っていくべき」とし「負担が偏り過ぎないよう幅広い税目による負担が必要なことを明確にし、理解を得る努力を行うべき」としている。

 そんな中、法人税の税率見直しに関しては「多くの企業が国内投資や賃上げに取組んでいる中、企業の努力に水を差すことのないよう、議論を深めていくべき」と暗にけん制するような文言が記された。

 しかし、大企業の内部留保が500兆円を超えるまでに膨れ、株主配当も増えている中で、従業員の賃金だけは上がらない状況で「高額所得者への税見直し」や「金融所得課税の見直し」「法人税の見直し」などをしないままでの国民負担増の政策は許されない。

 岸田文雄総理はこの日の政府与党政策懇談会で「有識者会議の報告書等を踏まえつつ、関係大臣間で調整を加速していく。年末までに我が国の防衛力を5年以内に抜本的に強化するために必要となる防衛力の内容の検討、予算規模の把握、財源確保について、一体的かつ強力に検討を進め、結論を出す必要がある。与党とよく連携しながら、精力的に検討を進めていきたいと考えている」と与党と連携しながらまとめていく考えを強調した。(編集担当:森高龍二)

© 株式会社エコノミックニュース