男子は大村工、女子は九州文化が優勝 全日本バレー高校選手権長崎県大会

第75回全日本バレーボール高校選手権県大会は23日、男女の準決勝、決勝が行われ、男子は大村工が2年ぶり19度目、女子は九州文化学園が3年ぶり33度目の優勝を飾った。決勝でスパイクを放つ大村工のOP山口(左)と、九州文化学園のOH田中凛=島原市、島原復興アリーナ

 第75回全日本バレーボール高校選手権(春高)長崎県大会最終日は23日、島原市の島原復興アリーナで男女の準決勝と決勝が行われ、男子は大村工が2年ぶり19度目、女子は九州文化学園が3年ぶり33度目の優勝を飾った。両校は全国大会(来年1月4~8日・東京)の出場権を獲得した。
 男子決勝は大村工が佐世保南に3-0でストレート勝ち。立ち上がりこそリードを許したが、OP山口の連続得点をはじめ、OHの土井、松島の強打、フェイントで突き放していった。第1セットを25-18で先取し、第2、3セットも25-17、25-15で快勝。安元、浅田のMB陣は速攻やブロックで存在感を示した。
 女子決勝も九州文化学園が聖和女学院を3-0で退けた。第1セットを25-22で競り勝つと、第2、3セットは25-16、25-21で連取。堅守からOHの大串、田中凛、MBの足立、山本ら3年生が次々とスパイクを決めた。1年生セッター平川のトス回しも安定感があり、2年生のOP田中聖も要所で得点を重ねた。

◎大村工 鮮やかに強打/限界決めず日本一へ

 男子決勝の第3セット24-15。2段トスを迷わず振り抜いたU18日本代表、OH土井のスパイクが相手レシーブをかすめてコートに突き刺さる。昨年、6月の県高総体で11連覇を逃し、春高予選も12年ぶりに敗れていた大村工。屈辱を胸に今季は3月の県新人大会から県内で1セットも落とさず頂点に立った。
 朝長監督が「勝つことがすべての大会」と強調した上で「内容は良くない」と振り返ったこの日。それでも勝ちきる地力が備わっていた。中でも原動力になったのは2年生の土井、3年生のOP山口、OH松島らの強打。守備でやや精彩を欠いても、思い切りのいい攻撃で打開していった。

【男子決勝、大村工-佐世保南】2年ぶりにV奪回し、ガッツポーズするOH松島(1)ら大村工の選手たち=島原復興アリーナ

 伝統のセンター線も躍動した。第3セット8-7と競り合った場面はMB安元が速攻と1枚ブロックでリードを広げ、相手タイムアウト直後も再び1枚で止めて3連続得点。一気に畳み掛けて最後は10点差をつけた。
 結果だけを見れば県内では完勝の1年間だったと言える。だが、指揮官と同じく選手たちも一様に納得していなかった。
 日本一を目標に掲げながら、夏のインターハイは決勝トーナメント1回戦、秋の栃木国体は2回戦で敗退。主将の松島は「このまま甘い気持ちで全国に行くのか、大村工で何をしに来たのかをもう一度確認してから行けるのか」。山口も「一人一人が限界を決めずにやっていきたい」と誓う。
 全国で勝って初めて、本当の復活だということをこのチームは理解している。

◎九文快勝 気持ち前面/3年ぶり歓喜の瞬間

 女子は九州文化学園が王座に返り咲いた。史上初のインターハイ中止、2年連続春高予選敗退…。秋の国体を含めて過去15度の日本一に輝いてきた名門の選手たちはこの3年間何度、悔し涙を流してきただろう。優勝の瞬間、それはようやく歓喜の涙に変わった。
 準決勝で創成館に第1セット18-22からストレート勝ちして、決勝は終始流れを渡さなかった。粘りの守備に観客席から「よく拾う」と感嘆の声が上がり、そのボールを攻撃陣が生かした。中心はやはり3年生だった。

【女子決勝、九州文化学園-聖和女学院】第3セット、ブロックに跳ぶ九州文化学園のMB足立(左)とOH大串=島原復興アリーナ

 7月に主将を降ろされたMB足立は準決勝途中に自ら出場を志願。「自分のことしか考えきれず、みんなに迷惑をかけてきた」。決勝はスタメンから活躍して輝きを取り戻した。OHの大串、田中凛も「感謝でいっぱいの3年間」と強打を連発。最後は、2月に右腕を骨折して苦しんできたMB山本のスパイクが相手ブロックを弾いた。
 「見てる人の心を揺さぶる」。主将の田中凛が口にするように、一球一球に魂を込めた。今季を締めくくる県タイトル、3年生にとって最初で最後の春高切符は、異例の3年間でも伝統の強い心を持ち続けた成果になった。レギュラーのうち、4人はOGの教え子でもある。チームを率いて43年、年明けには65歳を迎える井上監督の表情は少し満足そうに見えた。
 「久々に気持ちが出ていたね。きょうだけでもすごく成長したんじゃないかな」


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