救急車

 10年前は全国平均8.3分。これが2年前には平均8.9分。救急車が連絡を受けて現場に着くまでの時間は年々、少しずつ延びている。本県もこの傾向は変わらない▲高齢化などで、救急車に出動を求めるケースが増えた。あちらにもこちらにも矢継ぎ早に出動すれば、その分、到着に時間がかかる。そういうことらしい▲一刻一秒を争う救急搬送だが、妨げも多い。救急車が右折しようとしているのに反対車線の車は止まるどころか猛然と直進してきたり、歩行者が悠々と前を横切ったり…▲そうした救急車の側から撮影した「危険な場面」を、長崎市消防局が動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開している。タイトルは「左に寄るだけで救える命があります」▲「われ先に」といった悪質なケースもあるのだろうが、「とっさに焦って前に進んだ」「サイレンが聞こえない」など「悪気のない」事例が多いという。救命の鍵は言うまでもなく時間。現場へ急行する車両にちょっとした心遣いを-と、チラシで呼びかけてきたが、動画でより広く、より強く協力を求める▲救急出動が増える本格的な冬を前に、コロナ感染者の増加も気になるところ。運転中や歩行者の皆さん、救急車が近づいてきたら「左に寄る」「一時停止」「指示に従う」。どうか落ち着いて対応を。(真)

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