【解説】岡山空港の国際線はいつ再開? インバウンド消費に期待も課題が

高松空港では23日にソウル線が再開しましたが、岡山空港ではまだ国際線再開のメドが立っていません。再開するにはクリアしなくてはいけない課題がいくつもありますが、岡山の関係者からは再開を待ち望む声が上がっています。岡山空港の国際線の今後をお伝えします。

外国人観光客誘致は? インバウンド消費に期待も……

岡山空港にある免税店が新型コロナ禍前の2019年度に売り上げた額は3億3500万円。しかし、2020年度から岡山空港の国際線は全て運休しています。

高松空港では23日にソウル線が約2年9カ月ぶりに運航を再開しましたが、岡山空港ではまだどの路線も再開のメドが立っていません。

(松木梨菜リポート)
「こちらのガラスの向こう側が国際線の搭乗待合スペースです。『DUTY FREE SHOP』と書かれていまして、免税店なんですけれども、シャッターが閉まっています」

以前、岡山空港ではソウル・台北・上海・香港の4つの国際線が定期運航していました。2019年度、この4路線の利用者は約25万6000人でした。しかし、新型コロナの影響で2年半以上「運休」が続いていて、再開メドは立っていません。

一方、高松空港では23日にソウル線が運航を再開。2023年1月には台北線も再開することが発表されました。また、広島空港も2023年1月に台北線が再開予定です。

この違いについて地域経済に詳しい専門家は――。

(日本政策投資銀行 岡山事務所/森脇大輔 所長)
「『拠点空港』という位置づけにある空港と『地方管理空港』という位置づけにある空港とで、全部が一気にっていうわけにもいかないところもありますので、拠点空港が優先的に体制が整備されていると」

高松空港や広島空港は『拠点空港』、岡山空港などは『地方管理空港』に分類されます。

2022年9月、国は、「地方管理空港」でも準備が整い次第、国際線を再開する方針を示しました。これを受けて、岡山空港を管理する岡山県は再開に向けて準備を進めていますが――。

(岡山県 航空企画推進課/森晃章 課長)
「検査態勢をまず整備、整えていかないといけないというのが課題としてあります」

運航再開のためには、感染が疑われる入国者の検査や隔離、ワクチン接種や陰性証明の確認など、検疫態勢を強化する必要があります。検疫強化のため岡山県は、国際線の搭乗待合室などを改修し、スペースを広げる予定です。しかし、課題はまだあります。

(岡山県 航空企画推進課/森晃章 課長)
「国際線運休期間中に人が減っている状況がありますので、こういった人たちを確保しなければいけないというような課題があります」

再開にはいくつもの課題をクリアする必要がありますが、岡山県はいち早い再開を目指しています。

(岡山県 航空企画推進課/森晃章 課長)
「直行便があることで海外から岡山へ来やすくなるということもありますし、県内経済へのインバウンド効果は大きいと思います。なるべく早く直行便が再開できるように取り組んでいきたい」

日本政策投資銀行のまとめによりますと、2019年に岡山県を訪れた外国人の34.5%は「関西国際空港」から。27.2%は「岡山空港」から入国していました。出入国のときにどの空港を利用するかは、「消費」に大きく影響します。

(日本政策投資銀行 岡山事務所/森脇大輔 所長)
「岡山空港を使ったインアウト(出入国)が3割近くあるということで、それが宿泊だったり最終日のお土産の購入につながったりということで」

インバウンド消費 中国地方では岡山県が「1位」

観光庁の調査によると、2019年に岡山県を訪れた外国人観光客が観光で使った金額は、1人あたり3万4499円でした。これは集計中の鳥取県と島根県を除いて中国地方では最も多い金額でした。

水際制限の緩和もあって外国人観光客が戻ってきつつある中で、「直行便再開」によるインバウンド消費を待ち望む声が上がっています。

(岡山高島屋 広報/片山進さん)
「インバウンドの状況は、回復はしてきてるんですけど、新型コロナ前からいうとまだまだ」

岡山高島屋のインバウンド関連の売り上げは、新型コロナ前の5分の1ほどだということです。10月からは岡山市内の15のホテルに専用の免税パンフレットを設置してもらうなど、「呼び込み」に力を入れ始めました。

岡山県有数の観光地「岡山後楽園」。2022年9月には2年半ぶりに外国人の団体客が訪れました。その後は少しずつ外国人観光客が戻ってきています。

(岡山県後楽園事務所/石井謙次 所長)
「フランスとかベルギーそういった方から団体旅行が始まって、今はアジアからも団体旅行・個人旅行も加わってきている状況です」

(日本に在住[イスラエル])
「私、日本在住ですけど、お客さんが3年前から来る予定で、3年延びました」

岡山後楽園の来園者数は、2019年が過去最多の約83万人となり、その2割ほどを外国人観光客が占めていました。今後の利用客回復のためにも国際線の再開を待ち望んでいます。

(岡山県後楽園事務所/石井謙次 所長)
「直接(直行便で)岡山に入っていただいた方が(行き先として)岡山の行楽地を選択してくれるわけですし」

国際線については航空会社からも「再開」を望む声が聞かれるそうです。

(日本政策投資銀行 岡山事務所/森脇大輔 所長)
「再開されるときには、台湾(台北)線から再開されると見込まれる。タイガーエアさんは1月1日からでもチケット売りたいと」

外国人宿泊者数 2021年からの伸び率は岡山県が「全国1位」

インバウンド消費に期待が寄せられる中で、観光庁のまとめによると、2022年6月に岡山県に宿泊した外国人は、2021年6月の9倍以上でした。2021年からの伸び率は、北海道や奈良を抑えて全国1位でした。

この状況について岡山県観光課は、入国できる人数の上限が6月に1万人から2万人に緩和され、ビジネスで訪れた人が増えたのではないかと分析しています。

岡山県の伊原木知事は国際線の再開に向けて来週、国に検疫体制の強化などを要望する予定だということです。

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