世界遺産・奄美の湯湾岳山頂立ち入り規制スタート 環境省が試行、希少・固有の動植物を保全

広場から山頂に通じる登山道(右側)=大和村の湯湾岳

 環境省は25日から、鹿児島県・奄美大島の世界自然遺産登録地で、大和村と宇検村にまたがる湯湾岳(標高694メートル)山頂への立ち入り規制を試行する。周辺での人数制限やガイド帯同も推奨する。希少・固有な動植物が多く生息する登録地の重要エリアを保全する狙い。山頂手前のほこらの広場には展望台を建設し、同日から利用を始める。

 湯湾岳周辺は登録地に加え、奄美群島国立公園の中で最も規制が強い特別保護地区に該当する。同省や両村は観光客の増加を見込み、動植物の保護強化を図るため登録前からルール導入を検討していた。

 山頂手前の登山道約250メートルは保全ゾーンと位置付け、一般の立ち入りを制限する。学術調査などの際は事前許可が必要。道は柵などでふさぐ。

 宇検村側からの登山道約1.7キロは準保全ゾーン。1団体8人程度を上限とし、ガイドの帯同を推奨する。大和村側の板敷きの登山道約370メートルは自然体験ゾーンで、規制せずに歩道や広場から外れないよう求める。いずれのルールも法的拘束力はない。センサーやカメラで利用状況を確認する。

 同省は「観光利用と環境保全の両立を図れるよう、関係機関と連携し意見を収集しながらルールを改定していく」とした。

【関連表】湯湾岳の利用ルール

© 株式会社南日本新聞社