台風や豪雨時に神奈川県と横浜地方気象台が共同で出す「土砂災害警戒情報」の発表基準が見直され、24日に運用が始まった。崖近くの住民らに避難行動を促す重要な情報だが、実際には土砂災害が発生しないケースも多く、精度の向上が課題となっていた。過去の災害の状況を考慮し、地域ごとの詳細な雨量や地形を反映するように改善したため、より適切なタイミングで発表できるという。
崖崩れや土石流の危険性が高まった際、おおむね市町村単位で出される土砂災害警戒情報は、5段階の警戒レベルが定められている警報や注意報といった「防災気象情報」の中で、2番目に危険な状況を意味する警戒レベル4に相当する。政府はガイドラインで、避難指示発令のきっかけとして同情報を活用するよう市町村に呼びかけている。
今回の見直しでは、2006年以降の降雨や土砂災害の発生状況を考慮。これまでに警戒情報を出したケースについて、実際に崖崩れの被害が出たかどうかなども検証し、発表の際に用いる雨量基準を変更した。さらに、従来は5キロ四方ごとに設定していた雨量基準を1キロ四方に細分化し、崖地の有無などの地形の特徴を反映できるようにした。
県は「こうした改善策により、警戒情報を出していないのに土砂災害が起きてしまう『見逃し』が減少する」と説明する。また、気象庁のウェブサイトなどで土砂災害のリスクが高まった地域をピンポイントで確認できるため、「市町村が避難指示の対象区域を絞り込みやすくなった。住民の避難に役立ててほしい」としている。
また、横浜地方気象台は単独で発表している大雨警報・注意報についても基準を見直し、運用を開始した。
◆土砂災害警戒情報 台風や豪雨で、崖崩れや土石流などの恐れが高まった時に都道府県と気象庁が共同で発表する。基本的に市町村単位だが、県内では横浜市が北部と南部、相模原市は東部と西部に分割して出される。崖や沢に近い「土砂災害警戒区域」の指定エリアがない寒川、開成両町は対象外。警戒レベル3相当の大雨警報の時点より危険な状況で、さらに雨が降り続くとレベル5相当の大雨特別警報が出る場合も。県は警戒情報を緊急速報メールでスマートフォンなどに通知する取り組みを進めている。横浜市は警戒区域の中から独自に危険な崖地などを選定し、即時に避難指示を発令している。