話した言葉を字幕表示 聴覚障害者や高齢者ら支援 鎌倉市の図書館で実証実験 外国語の翻訳機能も

職員の話した言葉がリアルタイムで表示されているスクリーンを貼り付けたアクリル板=鎌倉市中央図書館

 窓口の職員の言葉を文字に変換して、目の前のアクリル板などに表示するシステムの有用性を検証する実証実験が24日、鎌倉市中央図書館(同市御成町)などで始まった。聴覚障害者やお年寄りに、より分かりやすく意思疎通を図ってもらうため、実用化に向けた製品の改良を進めていく。

 実験するのは、京セラ(京都市)が開発を進める「わかりやすい字幕表示システム」。同社が同館の図書館システムを手掛けていることから、実施が決まった。実験は同館のほか、玉縄図書館(鎌倉市岡本2丁目)でも12月27日まで行う。

 「字幕表示システム」は、マイクで音声をリアルタイムに認識し、カウンター上に設置したスクリーンを貼り付けたアクリル板に字幕として投影するもの。昨年10月に同社が開発し、横浜市内の公共施設でも実証実験が行われた。日本語だけでなく、翻訳機能もあり英語や中国語、韓国語などにも対応。同社によると、役所や銀行、病院、ホテル、空港などでの導入が見込まれているという。

 新型コロナウイルス禍の新しい生活様式で、マスク着用やアクリル板越しの会話が増える中、職員と利用者のコミュニケーションが取りづらくなっているという。大きな声を出せない館内で、同システムを使い会話の聞き取りづらさの解消や円滑な意思疎通を目指す。

 利用した男性は「耳が遠く、窓口では筆談でやりとりしているが、文字で見えると楽ですね」と話す。同社では「精度を上げて、来年の春以降に製品化したい」としている。

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