白星発進

 自陣からの長いパスをぴたりと足元に収めた“ジャガー”浅野拓磨選手が相手ゴールに向かって突き進む。目の前に立ちはだかるゴールキーパーは世界屈指の名手だ。思い切り振り抜いた右足のシュートがゴールネットにドスンと突き刺さる。逆転▲ああ、何回見ても気持ちがいい。中東カタールで開催中のサッカーワールドカップ(W杯)。グループリーグの初戦で、日本代表が過去4回の優勝を誇る強豪国ドイツを見事に下した▲個の力で勝るドイツの猛攻を最少失点で耐え抜き、後半の逆転劇につなげた。交代で投入した選手たちがそろって活躍、陣形を修正してゲームの流れを変えた森保一監督の采配が絶賛されている▲監督の手腕に無遠慮な批判を浴びせていたファンが「♯ごめんなさい」の目印付きで反省の弁をSNSに投稿している。「声援に後押しされて」と感謝を語った指揮官、パタパタと手のひらが返る音もカタールに聞こえているかも▲W杯は始まったばかり。どんなに強い相手を負かしても得られる勝ち点は同じ「3」だ。次戦の相手は初戦に大敗して後のないコスタリカ。このままでは帰れない…と闘志を剥き出しに日本戦に臨むはず▲「ドーハの歓喜」にはどんな第2幕、第3幕が待っているのだろう。楽しみが続く。声援に力が入る。(智)

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