米軍による土地の強制接収…かつての故郷に思い 楚辺の歴史を学ぶ写真展、27日まで 沖縄・読谷

 【読谷】沖縄県読谷村楚辺の人々が米軍トリイ通信施設の建設に伴い、土地を接収され、元々の居住地から現在の楚辺に移転してから今年で70年。楚辺公民館では移転の経緯を学んでもらおうと写真展を27日まで実施している。

 楚辺は1945年4月の米軍上陸地で、集落は占領された。戦後、人々が故郷に戻れたのは2年後の47年。帰郷後、住民一丸となって復興を進めたが、51年5月に米軍からトリイ通信施設建設のための立ち退き命令が突然下った。住民は度重なる陳情をしたが、工事は着手され、現在の楚辺に移転を余儀なくされた。

 移転前の故郷は「古楚辺(ふるすび)」と呼ばれ、展示には当時の楚辺を知る住民から収集した写真のほか、生活用具や集落の模型などが並ぶ。「お隣さんのおじさんだ」と笑顔を見せた女性は中学校卒業まで古楚辺に住んでいた。「当時の町並みや思い出がよみがえる」と感慨深そうだった。

 展示最終日の27日は楚辺に伝わる歌劇版組踊「手水の縁」が22年ぶりに上演される。さらに、嘉手納町の野里共進会との芸能交流「アシビトゥイケー」も33年ぶりに復活する。午後3時から。

(名嘉一心)

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