大石知事、石木ダム反対団体と初の面会 座り込み現場も訪問

石木ダムに反対する市民団体と面会する大石知事(右)=佐世保市、県県北振興局

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、大石賢吾知事は24日、同市内で、反対派市民団体の代表らと面会し意見を聞いた。面会前には建設予定地に立ち寄り、抗議の座り込みを続ける反対住民を訪問した。
 面会は団体側の要請で初めて実現。石木川まもり隊(松本美智恵代表)など4団体の26人が参加し、冒頭のみ公開した。団体によると、知事に「水は不足していない」とするデータを示したほか、佐々川の活用などを提案。約1時間の面会中、知事があいさつ以外で発言する場面はほとんどなかったという。
 終了後、知事は報道陣に「いろいろな意見があると改めて感じた」と語る一方、「(事業推進の)認識は変わらない」と強調。松本代表は「真剣に耳を傾けていただいた」と一定評価しつつも、「(今回で)ダムの政策が変わるものではない。今日で終わりにしないで」と面会の継続を求めた。

住民に対話再開を要望する大石知事(右)=東彼川棚町

 これに先立ち、知事は工事現場のそばで座り込みをしている反対住民を訪問。9月7日を最後に直接対話が途絶えており、知事は「何とか話し合いを継続させてほしい」と要望した。これに対し住民側は「(県土木部はダムの必要性の)説明しかしないと(言っている)。説明だけでは話し合いにならない」と主張し、対話再開について知事名の文書を提示するよう求めた。知事は改めて協力要請に訪れることを伝えた。
 前回の対話では、必要性を訴える知事に対し、住民側が「最初から必要と言うのであれば(対話は必要なく)すぐにでも(家屋などを強制撤去する)行政代執行をすればいい」と反発。必要性について説明を尽くしたいとする県と、議論を求める住民との間で調整が難航しており、次回の対話のめどが立っていない。


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