豪雨被災 真備の施設にピアノ寄贈 倉敷の橋本さん「復興の力に」

橋本さんと寄贈するピアノ。「音楽で地域を元気づけたい」と願う

 2018年の西日本豪雨で被災したピアニスト橋本里香さん(39)=倉敷市=が、地元の文化施設「マービーふれあいセンター」(同市真備町箭田)にグランドピアノ1台を寄贈する。自宅が浸水しピアノを失った際に知人から譲り受けたもので、橋本さんは「優しい気持ちに救われた。音楽で地域を元気づけたい」。恩送りの願いを託す。

 青陵高出身の橋本さんは大阪芸術大とオーストリア・ウィーン国立音楽大で学び、プロとして岡山と大阪を中心に活動する。西日本豪雨では自宅が浸水し、ピアノも水没。演奏の基盤を失い途方に暮れる中、知人の原泰江さん(75)=岡山市北区=が、自宅にあるピアノの譲渡を申し出た。

 新たなピアノで練習に励み、演奏会やコーラスグループの伴奏など地元での活動を重ねた。被災した人が生き生きと楽しむ様子に触れ「音楽は人を笑顔にし心を温める」と実感。「復興の力になれれば」と、原さんと連名でピアノを贈ることを決めた。

 センターも豪雨で被災し、所有していたピアノ3台は廃棄せざるを得なかった。2021年の再開時に2台を配備したが、以前あったロビーには欠けている状況が続いていた。小野行弘館長は「本当にありがたい。ロビーに置き定期的にコンサートを開くなど有効に活用したい」と喜ぶ。

 原さんは「多くの人に使ってもらえればうれしい」、橋本さんは「ピアノを続けられたのは原さんのおかげ。ふらっと立ち寄り音楽を楽しめる場になれば」と期待する。

 ピアノは既に搬入されており、29日にセンターで寄贈式が行われる。12月25日には橋本さんが演奏するロビーコンサートを開く予定。

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