Yes!アキト&サツマカワRPGインタビュー「ギャグでは絶対誰にも負けない」「夢見心地な1年でした」

「R-1グランプリ2022」で、共に初の決勝進出を果たしたピン芸人・Yes!アキトさんとサツマカワRPGさん。それぞれピン芸人として活躍しながら、同じくピン芸人のどんぐりたけしさんと、事務所の垣根を越えたトリオ「怪奇!YesどんぐりRPG」としても活動中です。

11月10日に開催された「『R-1グランプリ2023』やります会見」の終了後取材に応じてくださった、本大会が共に「R-1」ラストイヤーとなるお二人。アキトさんの「最近取材をしていただく機会がちょこちょこあるのですが、毎回、本当に楽しいんです!!」という声を皮切りに、決勝進出以降の環境の変化や、現在の心境についてお聞きしました。

「ついに来た!」「認めてくれた」

――「R-1グランプリ2022」では共に初の決勝進出。以降、お二人のお名前をいろんなところで聞く機会が増えていますが、ご自身としてはどんな変化がありましたか?

サツマカワ 「僕の中で一番デカかったのが、『座王(千原ジュニアの座王)』(関西テレビほか)に呼んでもらえたことで。それが本当に楽しくて、『座王』のことを考える時間が多かったですね。出演が決まった時はマジでうれしかったです。大喜利がすごく好きで、ライブではずっとやってたんですけど、『ついに来た!』って。ずっと出たかったんで、うれしかったです」

――千原ジュニアさんとご一緒して、いかがですか?

サツマカワ 「ちょっと怖そうじゃないですか。でも実際はめっちゃ優しい方なんだなって。すごく笑ってくださるし、今のところめちゃくちゃやりやすい状態で収録に参加させていただいています。最高です!」

アキト 「僕は、決勝にいく前から1年くらい『さんまのお笑い向上委員会』(フジテレビ系)にモニター横芸人として出演させてもらってたんです。それが終わる頃、スタッフさんから『近いうちにゲストとしてお呼びします』って言ってもらえてたんですけど、なかなか呼んでもらえない期間があって。そしたら『R-1』で決勝に出た後、また呼んでくださって。その時に『認めてくれた』みたいな感じがしたんですよね。なんか、決勝にいったことでステージをちゃんと上げて見てくれたっていうのを強く実感して。自分としては、収録では毎回やることを変えて気合を入れて挑んでいたんですけど、やっぱりちゃんと“賞レースのファイナリスト”という箔(はく)が付いたことで、周りの見る目が変わったのが大きかったです。あと、もう一ついいですか?」

――もちろんです!

アキト 「僕、ピンでの全国ツアーを去年からやってまして。トリオでの活動もやってるんですけど、やっぱりピン芸人として『R-1』にめちゃくちゃ懸けているので、その思いがお客さんに通じているという実感が得られてすごくうれしいです。東京だけじゃなくて、全国各地に『R-1頑張ってください!!』って言ってくださるお客さんがいて、『Yes!アキトを応援しよう』って思ってくださる方がいるのは、すごく大きなことだなと。本当に大きな恩恵を受け取っています」

――アキトさんは北海道出身ですが、地元での反響は変わりましたか?

アキト 「めちゃくちゃ変わりましたね。僕の兄貴が札幌で中華料理店をやってるんですけど、その兄がすごい尖ってまして。例えば、お店の取材で『Yes!アキトさんのお兄さんなんですよね』と聞かれても『まぁ、はい。なんかギャグやってるみたいです』ってぼそぼそ答えてたのが、僕が決勝にいってからは、番組のナレーションで『店主は、Yes!アキトさんのお兄さんです』と紹介された後、兄貴が全力で『ダーブルパチンコ!!』ってやるようになったんです」

サツマカワ 「自慢の弟になれたんだ(笑)。それデカいですよ」

アキト 「『こんなに変わるんだ!』と思って。それまでは本当に恥ずかしそうに答えてたのに」

サツマカワ 「周りの大人の反応が変わるとかは聞くけど、兄が変わるってあんまないけどな」

アキト 「肉親が変わりましたね」

――芸人の道に進むことに対して、お二人のご家族は賛成でしたか? それとも反対されましたか?

サツマカワ 「僕は最初から応援してくれてます」

アキト 「うちも応援はしてくれてたんですけど、やっぱりずっと、人に紹介できるような芸人ではなかったんですよ。何かを成し遂げたわけでもなかったんで。やっと一つ目が『R-1グランプリ』の決勝進出だったなって思います」

サツマカワ 「こないだ実家に帰った時に、母ちゃんから5枚くらい色紙を渡されて『これ書いて。近所の子がサインほしいって』って言われまして。最高でした! 実家が山梨なんですけど、僕の実家の近所に小さいお子さんがいるご家族が住んでいて。そのご家族から『息子さん頑張ってるね!』って、ブドウをもらったのかな? それで実家に帰ったタイミングで会いに行くことになって、ピンポン押したら、子どもたちが『あっ!! サツマカワRPGだー!! 本当に近くに住んでたんだ!!』『R-1見ました!!』って出迎えてくれたんです。めっちゃうれしかったです」

アキト 「そういうのうれしいよな~」

怪奇!YesどんぐりRPGの活動は「すごくいい相乗効果」

――お二人の出会いや、互いの第一印象を教えてください。

アキト 「いつものやつ言っちゃって」

サツマカワ 「いいっすか? いつもの。元々、一つのギャグだったんですよ。でっかい巨大な一発ギャグで。それが分離して、北海道の一発ギャグ、山梨の一発ギャグ、で、どんぐりたけしが茨城の一発ギャグになりました」

――一つの生命体…のようなものですかね…?

サツマカワ 「ギャグが生命体かどうかは、専門家によって意見が分かれるんですけども」

アキト 「ギャグです!」

サツマカワ 「はい」

アキト 「サツマカワRP“G”、Yes!“ア”キトの“A”、どん“ぐ”りたけしの“G”。“GAG”で“ギャグ”です」

サツマカワ 「GAGさんは今ギャグの状態らしいです」

アキト 「これ以上は説明しなくても分かりますよね?」

サツマカワ 「一つもカットせずそのまんま書いてください」

――分かりました(笑)。では第一印象は…。

アキト・サツマカワ 「ははははは!(笑)」

アキト 「えーっと、第一印象は、尖ったピンネタしてるなと思いました」

サツマカワ 「おー、ちゃんと答える(笑)」

アキト 「ギャグが面白いんですよ!」

―東京で出会ったんですか?

アキト 「俺は北海道にいた時に、動画で最初に見たんですよ。サツマカワが今の事務所に入る前の事務所にいた頃の、事務所ライブの映像がYouTubeに上がっているのを見て。今はこう、元気にやってるじゃないですか。でもその時のネタは、白いトレーナーに『五角形くん』というオリジナルのキャラクターの絵を描いた状態で出てきて、だらだらショートコントをやってたんです。『なんだこの人?』と思いつつ、なんか、人気が出そうな感じも分かるというか」

サツマカワ 「サブカル受けでやってました」

アキト 「実際に出会ったのは、僕が上京してからですね」

サツマカワ 「俺は、下北沢で無料のお笑いライブがあるんですけど、楽屋でいつもみたいに携帯をいじってたんです。そこは壁一枚隔てたところで芸人たちがネタをやってるんで、それをうっすら聞きながら携帯見てたら、知らないピン芸人がなんか面白いギャグやってるのが聞こえて。それでちょっと耳を傾けた時に『うにょうにょわにょわにょわにょ~。ここテルミンだらけじゃん!』って聞こえてきて、『なんだ?』と思って見に行ったのがきっかけです。インパクトありましたね。テロテロの赤いスーツ着てました」

アキト 「お互い今とは違う衣装でしたね」

――2018年に、サツマカワさんがアキトさんとどんぐりさんを誘う形でトリオを結成。きっかけは「M-1グランプリ」への出場のためとのことですが、もはや「M-1」出場だけにはとどまらない活動となっていますね。

サツマカワ 「よく考えたら、どんぐりがいない状態のインタビューって初めてっすよね」

アキト 「そうなんです。本当はね、3人で活動してるんですけど。でも僕の捉え方でいうと、こんなにトリオの比重が大きくなるとは、と感じていますね。僕は声を掛けられた側なんですけど、今ではトリオの活動が、ピン芸人の活動に負けないくらいの量があって。その二つが相関関係にあって、切っても切り離せない動き方をしてるんですよ。トリオも『M-1』の時期だけ頑張るんじゃなくて、1年間ずっとトリオの活動がある状態なので、自分のピンネタだけを考えていた状態から、もっと複合的に考えられるようになったんですよね。ほかの人と自分のピンネタを絡めるにはどうしたらいいかなっていうのを考えるいいきっかけになっているので、その結果、ピンネタもよくなってるし。ピンでの活動が波に乗るとトリオの活動にもプラスになるっていう、すごくいい相乗効果があって。それは3人ともそうなんじゃないかなと思います」

サツマカワ 「『M-1』はお笑いファンはみんな見てるコンテンツだと思っていて。だから『M-1』で結果を残すことが、結果的に『R-1』で勝つことにもつながってくるんですよね。客席に僕たちのファンがより来てくれた方がいいし」

アキト 「うん。どっちにもいい影響を与えてますよ。『R-1』の成績もよくなってるし、『M-1』の成績も、2回戦、3回戦までだったのが準々決勝いけたりとか。本当に、お互いいい活性化ができているような感覚があります」

ラストイヤーとなる「R-1グランプリ2023」へ

―今、ライバル視している方はいますか?

アキト 「(即答で)ソマオ・ミートボールです」

サツマカワ 「俺は…そうですね、ソマオ・ミートボールです」

アキト 「ごめんなさい、やっぱ変えてもらってもいいですか? すみません、ソマオ・ミートボールです」

サツマカワ 「2人いて、ソマオ・ミートボールと……ソマオ・ミートボールです」

――えっと…。

アキト 「助けを求めないでください」

サツマカワ 「(笑)。ライバル視かー。でも本当に割とそうかもしれないですね」

アキト 「面白いですよね。あっ、やっぱりでも、言うの恥ずかしいけど………ソマオ・ミートボールかなぁ…」

サツマカワ 「伝わんないよ?(笑)」

アキト 「(笑)。あ、でも俺は、1人思い浮かぶのは、言うのはちょっとあれですけど、吉住です」

サツマカワ 「おお」

アキト 「2年くらい前に、正月の番組で一緒になったんですよ。どういう意図か分かんないですけど、吉住がリハーサル中にこそっと『こないだスタッフさんから、“R-1誰が優勝しそう?”って聞かれたんで、アキトさんって答えたんですよね~』って言われたんですよ」

サツマカワ 「へぇ~」

アキト 「なんか…『ど、どういうつもり!?』って思って」

サツマカワ 「そっからドキドキして?」

アキト 「そっから意識しちゃって(笑)。でも、ライバル視となると、吉住はやっぱめちゃくちゃ強いんで。後輩ですし、僕とはやってることも全然違うんですけど、“芸歴10年以下の強いピン芸人”でまず真っ先に思い浮かぶのは吉住です。はっきりと、強いなと感じてます」

――吉住さんとは昔から付き合いがあるのですか?

アキト 「それがそんなになくて、本当にここ1、2年とかなんです。今も会っても飯行くとかでもないんですけど、やっぱりネタ見てて、本当に、本当にこの子ってすごいなって思わされるんで。一種の憧れというか。俺、ギャグでは絶対誰にも負けないって言えるんですけど、なんか、ギャグ以外の何かでは絶対負けてるなって吉住には思っちゃうんですよ。負けず嫌いなんですけど、そこは認めてしまう部分があります。はっきりと、自分にはないものを彼女は持ってるなって思える人です」

サツマカワ 「俺も吉住の単独見に行きました。第1回から。あんまりしゃべったことはなかったんですけど、見とこうと思って。そこから『THE W』で優勝もして、駆け上がっていったんですけど。面白いです、ずっと。俺は誰だろうなぁ。ソマオ・ミートボールっすね」

アキト 「いい加減にしろ(笑)。伝わんないって! 文章で(笑)」

サツマカワ 「まぁ、Yes!アキト、どんぐりたけしはもちろんのこと…」

アキト 「ほら、サツマカワのファンはそういうサツマカワのマジの部分とか聞きたいから」

サツマカワ 「いいよ、煽るなよ(笑)。でもライバル聞かれて、アキトも『吉住なんだ』って思うしなー。やっぱりピン芸人ってそれぞれ全然ジャンルが違うので、そこで1位を決めなきゃいけないのが難しいというか。そういう意味では、そこまでなんかね、『とにかく1位! 1位1位!』って感じではないんですよね。決勝いければいいや、みたいな気持ちがちょっとあって」

アキト 「そこは考え方が違うかもなー。俺はやっぱね、優勝したいんですよ!!」

サツマカワ 「そう、アキトは常々それ言ってる」

アキト 「絶っっっ対優勝なんです。本当いうと、この芸風で優勝にこだわってるってすげえ寒いという感覚もちゃんと持ってるんですよ。『お祭りでいいじゃん』とも思うんですけど、やっぱ、優勝なんですよね。優勝を目指すとなると、ライバルに挙がるのは吉住なんです。そこは(サツマカワとは)感覚がちょっと違うと思います」

――アキトさん、芸歴って何年ですか?

アキト 「『R-1』は次がラストイヤーです」

サツマカワ 「俺とアキトは同期で、2人とも次がラストイヤーです」

アキト 「まぁね、『おっ!? こいつらめちゃくちゃ面白いじゃん!!』ってなって、ルール側が変わってくれたらそれ以降も全然出たいんですけど(笑)。現在のルールでは、次がラストイヤーです」

サツマカワ 「ラストイヤーですよ、本当に…。でも俺も、ラストって言われたら優勝したいなって思いますね。『最後のチャンスか…』って。うん」

アキト 「やっぱりラストって言われると、カナB12。あっ、カナC。ビタミン違いでしたね」

―(笑)。最後に、2022年がお二人にとってどういう1年だったかというのと、「R-1グランプリ2023」に向けての意気込みをお願いします。

アキト 「前回『R-1』決勝に初進出して、スタッフさん、事務所の方、そして応援してくれてるファンの方に、本っっっ当に祝福されたんですよ。とんでもなく祝福されるんですよ」

サツマカワ 「うん。そうだな」

アキト 「特に僕の場合、敗者復活戦から勝ち上がったので。Web投票なんですけど、皆さんが本当に応援してくれたおかげで、2万票近くの投票をいただいたんです。総得票数の約3分の1ですよ。人生でこんなにはっきりと応援してもらうことって、今後あるのかな?と思うくらい、数字を見てびっくりしました。この1年は本当にたくさんの『よかったね!』『頑張ったね』『すごかったね』という言葉をいただいたので、来年はそれを全部返す『R-1』にしたいなと思っています」

サツマカワ 「僕は、ただただ夢見心地な1年を送らせてもらいました。草月ホールっていうでっかい会場で怪奇の単独ライブができて、しかもそれが即完して。アキトの全国ツアーもすぐ埋まったし、怪奇で地方に行った時もすごい盛り上がったし、でっかい会場でのライブに呼んでもらえたりもしたし…。あと、今度地元の中学校で講演会みたいなのをやってくれって言われたんですよ。中学生の進路相談会みたいな。地元の友達に会うと『売れたねー!』って言われたりして。もちろん売れたなんて気持ちは一切ないですけど、いろんな人から『おめでとう!』って言ってもらえる瞬間は、芸人やっててよかったなと思います。来年の『R-1』は、僕は『絶対優勝するぞ!』という感じではないところもあるんですけど、優勝できたらできたで最高だし、うん。優勝できなくても、楽しい1年を過ごせればいいなと思います」

【プロフィール】

Yes!アキト(いえすあきと)
1990年6月11日生まれ。北海道出身。A型。地元・札幌での活動を経て、2015年に上京。19年、サンミュージックプロダクションに所属。22年、「R-1グランプリ2022」で、敗者復活枠にて初の決勝進出を果たす。YouTubeチャンネル「ギャグch Yes!アキト【Yes!AKITO】」を更新中。どんぐりたけし、サツマカワRPGと、トリオ「怪奇!YesどんぐりRPG」としても活動中。


サツマカワRPG(さつまかわあーるぴーじー)
1991年1月26日生まれ。山梨県出身。A型。2011年、大学3年生の時にワタナベコメディスクールに14期生として入学し、大学在学中の12年にワタナベエンターテインメントに所属。その後フリー期間を経て、15年よりケイダッシュステージに所属。22年、「R-1グランプリ2022」で初の決勝進出を果たす。Yes!アキト、どんぐりたけしと、トリオ「怪奇!YesどんぐりRPG」としても活動中。

【番組情報】

「R-1グランプリ2023」
関西テレビ・フジテレビ系
決勝は2023年春に生放送予定

※エントリー受付中!
エントリー期間:2022年11月10日(木)~12月20日(火)【当日消印有効】

取材・文・撮影/宮下毬菜(フジテレビ・関西テレビ担当)

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