「鎌倉殿の13人」“実朝”柿澤勇人と“公暁”寛一郎が笑顔で「同じステージに立てて幸せでした」

NHK総合ほかで放送中の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜午後8:00ほか)に出演する柿澤勇人、寛一郎が、BS4Kの魅力を伝えるイベント「NHK BS4K FUN! FUN! ミーティング~ついてる? 4K 押してる? 4K~」に、制作統括の清水拓哉氏と共に登壇した。

三谷幸喜が脚本を担当、小栗旬が主演を務める「鎌倉殿の13人」は、源頼朝(大泉洋)の妻となった北条政子(小池栄子)の弟・北条義時(小栗)を主人公に、地方の豪族から頼朝の第一の側近となった義時が、その後いかにして頂点に上りつめたのかを、鎌倉幕府を支えた武士たちの姿を絡めて描くもの。柿澤は3代将軍・源実朝、寛一郎は実朝のおい・公暁を演じている。

実朝は、頼朝と政子の次男で義時のおい。3代将軍として優れた政治を行うが、その悲劇が京と鎌倉の激震を呼ぶ人物。一方、公暁は、2代将軍・源頼家(金子大地)の次男で母はつつじ(北香那)。父の無念を晴らすため、日本史上に残る大事件を引き起こす。物語終盤のキーパーソンとなる2人が、クライマックスに向けた作品の見どころなどを語った。

劇中では実朝の暗殺を謀る公暁だが、現場では、バチバチとした関係ではなく、休憩中に談笑していたという2人。寛一郎との共演前に、三谷から「寛一郎さんはどう?」と聞かれたことがあったという柿澤。「衣装合わせの時から、寛一郎さんは、柿澤さんのこと、殺す気満々ですから気を付けてください」と言われていたそう。実際に寛一郎は、柿澤と衣装部屋で初対面した際に、「初めまして。公暁役の寛一郎です。殺します」とあいさつしたそうで、そのことについて「やっちゃったなと思う」と苦笑した。

そんな2人だが、芝居の相性はよかった様子で、柿澤が「一緒にお芝居をしてとても楽しかった。芝居が上手なのは当たり前なんですが、目力というか、吸い込まれる感じもあって。史実でもそうですが、殺される役柄ではあるんですが、役者としては同じステージに立てて幸せでした」と感想を話すと、寛一郎も「バチバチではないですが、殺す・殺されるという関係の心地いい距離感だった」と振り返った。

また、三谷からの出演オファーが「うれしかった」と素直に口にする2人。その上で、寛一郎は「公暁は出番も多くない中で、いい部分もしんどい部分もあって、難しい役だけど楽しみたいと思った」、柿澤は「実朝はあまり資料も多くなく、僕の中では逃げまくったというか、弱い人だというイメージだった。でも三谷さんが新しい実朝を書きたいとおっしゃっていて、すごくプレッシャーを感じましたが、楽しもうと思いました」と当時の心境を述懐。

さらに、柿澤は、撮影スタートから1カ月後ぐらいに三谷から「実朝の一人称の“私”は、現代でいうと“僕”のイメージ。迷った時は頭の中で“僕”に変換してから言うようにして」とアドバイスがあったことを明かし、ありがたかったものの「何でもう少し前に言ってくれなかったんだろうと思った(笑)」と本音をこぼした。

11月20日放送分で、丸刈りだった公暁の髪が長髪となっていたことについて寛一郎は、「伸びすぎではあるんですが…相当なストレスと抱えて半年間こもっていたら、あのぐらい伸びたのかも(笑)。スタッフとビジュアルについて話す中で、無精ひげにした方がワイルドなのでは?という意見もありましたが、公暁は鎌倉殿になるつもりだったので、あのビジュアルになりました。心情の変化とビジュアルの変化を統一させたかったんです」と説明。すると柿澤は「髪が伸びてめちゃめちゃカッコよかった! でもスタッフは『編集困るな』と言っていた」と裏話を披露。

その後、第44回の4K映像での鑑賞を挟み、再び舞台に登場した2人は「4Kだと合戦のシーンが奇麗」「よく見えすぎちゃうから恥ずかしさもある」などとコメント。観客からの「自分以外の役柄で演じてみたい役は?」という質問に、柿澤は大竹しのぶ演じる歩き巫女の名前を挙げ、「非常に難しい役ですし、しのぶさんでしかできないのは承知なんですが、演じがいがありそう」と回答。一方、寛一郎は「実朝と公暁を逆でやってみたい。近しい関係なので面白いと思います」と語った。

そして、実朝と公暁がクライマックスを迎える11月27日放送・第45回「八幡宮の階段」について、柿澤は「寛一郎くんと対峙(たいじ)するところがあります。半年弱この作品に携わってきて、実朝にとって大好きだった人たちが次々に殺され、すごくしんどい時もあって、楽しいだけの現場ではなかった。しんどいと思うことの方が多かったかもしれないけど、最後は非常に幸せでした」と感慨深げで、「実朝の思いを最後のシーンに注ぐつもりで演じました。役と作品にすべてを捧げたつもりなので、それを見ていただけたらうれしいなと思います」と呼び掛けた。

寛一郎は「起きたことが事象として大きいので、内面的なことが入ってこないと思われたら嫌なんですが、必ずしも役と人の気持ちが一つではない。二つ以上のいろんな気持ちを胸に事件が起こっていると思うので、そこを4Kで、心の中を見ていただければなと思います」とアピールした。

イベントの直後に行われた取材会では、役を演じきった感想を尋ねられ、柿澤は「自分にダメ出しする瞬間は多々ありましたが、現場でスタッフさんと話しながら、自分がその日できる限りのことはやったし、その反省は役者としての次の糧(かて)になる。(演技に)正解はないけど、その繰り返しが役者なのかなと思います。そして『鎌倉殿』に関しては、思い残すことはないですね」ときっぱり。寛一郎も「回数を重ねてきて、内省と反省はもちろんありますが、その時、その瞬間にやれることはやれたと思います」と胸を張った。

第45回を控え、柿澤は「これまではかき回す役が多くて、(実朝は)役者人生で初めて、こんなに受け(のお芝居)で、性格も“静”の役柄だった。しかもこんなに応援されて愛されてという役も初めてでうれしかったです」としみじみ。そして、「視聴者の方の応援のおかげでここまでやってこれました。45回は壮絶なシーンがありますが、この先も楽しんでもらえたら」、寛一郎も「おのおのの最後、生きざまを見ていただければと思います」とメッセージを届けた。

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