コロナ「第8波」に備え着々 長崎県の検査機関倍増、中小の病床も確保

新型コロナ流行第8波への備えについて語る寺原部長=県庁

 新型コロナウイルス流行第8波に入ったとの見方が広がり、年末年始のさらなる感染拡大やインフルエンザとの同時流行も懸念されている。こうした中、長崎県は発熱外来に応じる診療・検査医療機関の拡充や病床の確保などを進める。寺原朋裕県福祉保健部長は25日、取材に応じ、患者に紹介できる同機関が9月時点に比べ倍増したことなどを明らかにした。
 今夏の第7波ピーク時は1週間の感染者数が2万5千人台に上った。発熱外来を受け付ける一部のクリニックや基幹病院の病床は逼迫(ひっぱく)。コロナ以外の一般診療にも影響が出た。
 同機関は9月時点で559カ所だったが、現在は609カ所。約1割の増加だが、寺原部長は「中身が違う」と強調する。県の受診・相談センターが患者に紹介可能な機関は37%から71%に増え、機関数は倍以上になった。
 病床確保に向けては、多くの中小病院が協力に応じた。これまで患者の受け入れ先は、各医療圏の基幹病院などに偏る傾向だったが、寺原部長は「オミクロン株は重症化しにくいため、特定の病院以外でも受け入れ可能」とし、基幹病院の負担軽減につなげたい考えだ。
 病床確保計画の見直しも進めている。第7波では基幹病院でクラスター(感染者集団)が発生したり、医療従事者が感染したりして計画通りに病床を確保できないケースもあった。より多くの医療機関が病床を提供するようになれば、リスクの分散が可能になる。
 県は、新型コロナ第7波ピーク時と過去のインフルエンザ流行時のデータを基に推計した結果、両方が重なったとしても、オンラインなどを活用することで県全体の診療体制を維持することが可能とみる。ただ医療機関の負担を軽減するには「県民の協力も必要」とし、感染防止策に加え、検査キットや解熱剤の準備を呼びかけている。
 寺原部長は、第8波に備える県福祉保健部職員について「通常業務もこなしながら、県民に医療を提供できるように奔走している。医療従事者の皆さんにはもちろん、部下にも感謝している」と述べた。


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