セブン&アイ・ホールディングス<3382>、傘下の百貨店「そごう・西武」を米投資ファンドのフォートレスに譲渡

西武池袋本店(東京・池袋)

セブン&アイ・ホールディングスは11日、傘下の百貨店「そごう・西武」(東京都豊島区。売上高4568億円、営業利益△35億2000万円、純資産641億円)の全株式を、米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループに譲渡すると発表した。セブン&アイは2021年7月に策定した中期経営計画で事業構造改革の完遂を掲げ、成長性の乏しい事業は外部への売却も辞さない方針を打ち出した。企業価値を2500億円とし、有利子負債などを調整したうえで譲渡価額を確定する。譲渡予定日は2023年2月1日。

セブン&アイは2006年にミレニアムホールディングス(現そごう・西武)を傘下に収めた。百貨店事業の発展とセブン&アイグループ各社との相乗効果の創出などを狙った。しかし、ネット販売の台頭や少子高齢化の進展などで百貨店事業はかねて業績低迷が続いていたうえ、ここ数年はコロナ禍の影響が重なり、赤字経営が続いていた。

そごう・西武の子会社である池袋ショッピングパーク(東京都豊島区。池袋駅東口で地下公共駐車場・ショッピングセンターを運営)、ごっつお便(東京都千代田区。ギフト券販売)、八ヶ岳高原ロッジ(長野県南牧村。ホテル運営)などもフォートレスに譲渡される。

一方、そごう・西武が75.2%を保有する生活雑貨子会社のロフト(東京都千代田区)の全株式はセブン&アイに移管され、セブン&アイグループに残留する。

譲渡先のフォートレスは不動産分野を主軸とする世界的な投資ファンド。テナント構成や商品構成の見直し、事業運営の効率化による収益構造の最適化や不動産の有効活用などを通じて、そごう・西武の潜在的価値を最大限引き出したい考えだ。フォートレスはそごう・西武の買収に際し、家電量販店「ヨドバシカメラ」を展開するヨドバシホールディングス(東京都新宿区)を事業パートナーとすることを決めている。

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