古代吉備北部の歴史解明の鍵を握る前方後円墳・荒木山西塚古墳(真庭市上水田、市史跡)で26日、真庭市や同志社大、地元住民による発掘調査が始まった。全国でも珍しい「市民参画」として実施される2年計画の事業。築造時の姿に迫るとともに、地域の歴史遺産の継承に向けたモデルとしての成果にも期待がかかる。
発掘調査は市が事業主体となり、官、学、住民が共同事業体を組織して臨む。実動部隊となるのは地元の北房文化遺産保存会員44人と、県民ボランティア86人。本年度は後円部の墳丘と周囲の計2カ所にトレンチ(試掘溝)を設け、全長63メートルとされる西塚の詳細な規模や構造を確認する。
初日は保存会員をはじめ、調査に協力する駒沢大考古学研究室の教員、学生らを含めた総勢約40人で作業。市教委職員や津村宏臣・同志社大文化遺産情報科学調査研究センター長らの指揮の下、トレンチの表土を手ぐわで丁寧に取り除き、土はふるいにかけて遺物がないか確かめていった。
同古墳は、3世紀半ば~4世紀に築かれた東塚(前方後方墳、全長47メートル)と西塚で構成する。保存会は2016年から周辺の環境整備や市へ調査の要望活動に取り組んできた経緯があり、久松秀雄会長(81)は「地元の古墳を地元で守り継ごうという強い思いでここまできた。安全面に配慮しながら進めていきたい」と話す。
津村センター長は「文化財を保護して公開するだけでなく、活用していくための新たな方策として注目される事業。荒木山のモデルが金字塔になれば」と意気込んでいる。