「律しかおらん」 祖父エール 伊良部出身の浦崎一さん(79) 堂安選手 次もゴールを

 満を持してピッチに現れた孫の姿に心が震えた。「行け、決めろ」。祖父の声援に応えるように振り抜いた左足が値千金の同点ゴールを生んだ。23日に行われたサッカーワールドカップ(W杯)カタール大会1次リーグ日本対ドイツ戦に出場し、勝利をたぐり寄せた堂安律(どうあんりつ)選手(24)の祖父、浦崎一さん(79)は「よくやってくれた。祝杯で泡盛を飲み過ぎた」と笑った。

 浦崎さんは旧伊良部町(現宮古島市伊良部)長浜出身。高校卒業を機に18歳で島を出て、兵庫県尼崎市で就職した。現在は大阪市で暮らし、関西宮古郷友会の会長を務める。

 堂安選手は長女の三男。「小さいころから負けん気が強かった。ドイツ戦後の取材に『俺が決める。俺しかいない』と答えてた姿。あのままやね」と振り返る。

 浦崎家は「サッカー一家だ」という。浦崎さんの長男は1987年の海邦国体に大阪代表として出場し、次男もサッカー強豪大学に推薦で入学した。堂安選手の兄も元プロサッカー選手だ。

 堂安選手は中学進学時にガンバ大阪ジュニアユースに入団すると攻撃的MFとして頭角を現し高校2年でプロデビューした。浦崎さんは試合に駆け付け、成長し続ける孫を見守ってきた。その後、堂安選手はオランダに移籍、今はドイツのブンデスリーガで活躍する。海外移籍後はテレビ観戦が「一番の楽しみ」になった。

 27日のコスタリカ戦も泡盛片手に自宅テレビ前に陣取る予定だ。「持ち前の根性でぶち当たってほしい。ゴールを決めるのは律しかおらん」と孫の言葉をなぞりエールを送った。  (佐野真慈)

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