“復活”のチーム三菱ラリーアートが初参戦初優勝。トライトンでアジアクロスカントリーラリー制す

 11月26日、AXCRアジアクロスカントリーラリー2022のレグ5が行われ、総合首位でSS6に挑んだチーム三菱ラリーアートの105号車ミツビシ・トライトン(チャヤポン・ヨーター/ピーラポン・ソムバットウォン組)が、競技最終日も順位を守り総合優勝を飾った。

 タイのプライベーターチームであるタント・スポーツに、技術支援を行うかたちでAXCRに初参戦しているチーム三菱ラリーアート。ダカールラリー2連覇の“レジェンド”増岡浩総監督が率いるチームは計3台のミツビシ・トライトンで同ラリーに挑む予定だったが、3台目のマシンをドライブするサクチャイ・ハーントラクーンがレグ0終了後に新型コロナウイルス検査で陽性となったため、全長約3kmのスーパーSSを終えた段階で1台がリタイアに。チームは残る2台での戦いを強いられることとなった。

 そんなチーム三菱ラリーアートでは、105号車を駆るヨーターがレグ1から快走を披露。22日(火)に行われたSS2でベストタイムを記録して総合首位に浮上すると、タイ国内で行われたレグ2/SS3とレグ3/SS4、さらに急きょコースが変更されたレグ4のSS5でも安定した走りでトップの座を譲らず。26日(日)のレグ5を前に、総合2番手のライバルに8分15秒差をつけた。

 コロナ禍の影響による2年間の中止を経て3年ぶりに開催された今大会の最終日は、世界遺産アンコールワットの玄関口として知られる、カンボジアのシュムリアップが舞台に。この最終SS6は距離は48kmと短いものの、大きな穴と深いわだちが連続する荒れたダートでの戦いとなり、ぬかるみから脱出できずに2時間の制限時間内にゴールできなかったチームも続出するなど、その難易度は前日までに行われた計5つのステージの中でもっともハードなものとなった。

 首位でレグ5を迎えたヨーターは、ミスコースやクルマにダメージを与えないことを最優先しながらも、守りに徹することなく持ち前の冷静なドライビングを継続。ステージ5番手タイムとなる44分12秒でフィニッシュし、総合タイム8時間22分42秒で見事2022年大会のオーバーオールウイナーとなった。

 総合2位は102号車トヨタ・ハイラックスレボ(トヨタ・クロスカントリー・チーム・タイランド)、総合3位には塙郁夫がドライブする116号車トヨタ・フォーチュナーが入り、チームメイトの青木拓磨組108号車トヨタ・フォーチュナー(ともにFORTUNER GEOLANDAR Takuma-GP)が総合4位で続いた。二輪部門ではTeam Japanの西村裕典(ハスクバーナTE250I)がクラス優勝を飾っている。

 AXCR初参戦のチーム三菱ラリーアートのもう1台、リファット・サンガー駆る118号車トライトンは最終日にひとつ順位を落とし総合5位でフィニッシュ。サンガーはは今大会が自身初のクロスカントリーラリー参戦だったが、パンクによる車両ダメージでタイムを失ったレグ1を除き、連日安定した走りでステージ上位タイムを記録していた。

 優勝チームの指揮を執った増岡総監督は、この結果が「三菱自動車が長年培ってきたノウハウによる賜物」であると語った。

118号車ミツビシ・トライトン(リファット・サンガー/シューポン・シャイワン組) アジアクロスカントリーラリー2022
チーム三菱ラリーアートのミツビシ・トライトン
左からピーラポン・ソムバットウォン、チャヤポン・ヨーター、増岡浩総監督、リファット・サンガー、シューポン・シャイワン

■早くも“連覇に向けた挑戦”も視野に

「今回はラリーアートの名の下でモータースポーツシーンに復帰する初めてのイベントで、私たち三菱自動車にとっても非常に大事なラリーでした」と増岡総監督。

「上位で完走できれば上出来と思っていましたが、総合優勝することができて大変うれしく思います。エンジニアとメカニックが『トライトン』を毎日完璧な状態でコースに送り出し、ドライバーとコドライバーがコース上で『トライトン』のパフォーマンスを最大限に引き出してくれました」

「今回の勝利はチームワークと三菱自動車が長年培ってきたノウハウによる賜物です。チーム三菱ラリーアートは来年の参戦も視野に入れ、しっかりとチーム体制、そしてラリーカーを準備していきたいと思います」

「今回応援してくださったファンのみなさま、多大なるご支援を頂きました協賛各社様、本当にありがとうございました」

 11月21日(月)から26日(日)までの6日間にわたって『ミツビシ・トライトン』をドライブしてきた、チーム三菱ラリーアートの両ドライバーのコメントは以下のとおりだ。

●チャヤポン・ヨーター(#105 ミツビシ・トライトン/総合優勝)

「6日間にわたりとても厳しい戦いになったが、チャンピオンになることができて本当にうれしい。エンジン排気量が大きなライバルもいる中で勝ち抜くために、ミスを徹底的に減らし、慎重にひとつひとつのコーナー、そしてステージをクリアすることに集中してきた」

「今回のラリーで好成績を出せたのは、『トライトン』の素晴らしいハンドリング性能があったからだと思っている。ターマック、グラベル、マッドとあらゆる路面コンディションでもとてもコントロールがしやすく、思い通りのラインで走ることができた」

●リファット・サンガー(#118 ミツビシ・トライトン/総合5位)

「今回は初めてのクロスカントリーラリー挑戦でとても楽しかったし、全ステージを無事に終えることができて本当に満足している。今回の参戦を通して自分のスキル、そしてラリーカーともに、鍛えるべき課題もしっかり見つけることができたよ」

「そして、改めて感じたのは『トライトン』は本当にタフで頑丈、心から信頼できるクルマだっていうことだ。市販車に近い状態でここまで戦い抜けたことは素晴らしいことだと思っている」

105号車ミツビシ・トライトン(チャヤポン・ヨーター/ピーラポン・ソムバットウォン組) アジアクロスカントリーラリー20222
2台の『ミツビシ・トライトン』で総合優勝と総合5位完走を果たしたチーム三菱ラリーアート アジアクロスカントリーラリー2022
初参戦初優勝を達成したチーム三菱ラリーアート アジアクロスカントリーラリー2022

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