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足尾鉱毒事件の解決に奔走した田中正造(たなかしょうぞう)の思想と行動を伝える栃木県佐野市の市民団体「田中正造大学」は27日、長年続けてきた講座の最終回を同市中央公民館で開き、36年の活動に幕を下ろした。同団体は講座開催のほか、正造の言葉を載せたカレンダー作製を通じて、現代にも通じる正造の精神を県内外に発信してきた。坂原辰男(さかはらたつお)事務局長(70)は「今後は別の視点から正造と向き合っていきたい。長い間ありがとうございました」と感謝した。
同団体は1986年に発足し、初の講座は環境学者で元沖縄大教授の故宇井純(ういじゅん)さんが講師を務めた。以降、作家や大学教授ら延べ約100人が正造の思想や公害問題をテーマに講演してきた。
この日の最終講座には、正造研究者や市民ら約140人が参加。講師は宇井さんの膨大な著作を厳選した「宇井純セレクション」(全3巻)を共編した長崎大環境科学部の友澤悠季(ともざわゆうき)准教授(42)が務めた。
友澤氏は「公害は近代化のひずみでも副産物でもなく、人々が被害を無視したり見過ごしたりした結果」とした上で、「私たちの社会がどういう状況で公害があるのかを見て、何を変える必要があるかを考えることが大切」と指摘した。同団体の解散についても触れ、「これまでの蓄積が別の形で次の世代に広まってほしい」と話した。
参加者からも同団体の長年の功績をたたえる声が聞かれた。NPO法人足尾鉱毒事件田中正造記念館の針ケ谷照夫(はりがやてるお)理事長(81)は「正造の発信に大きな役割を果たしていただいた」と活動をねぎらった。
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