「オーケー」「ナイスバーディー」。比嘉一貴の父、洋さん(60)は最終日の27日、会場を訪れ、息子のプレーに視線を送り続けた。賞金王獲得を決めて「よく頑張った。自分のこと以上にうれしい。本当に誇りに思う」と偉業を成し遂げた息子をたたえた。
最初の指導者は洋さんだった。一貴が10歳の時に連れて行った友人とのラウンドだ。1人欠員に2番から一貴を参加させたのが競技を始めるきっかけとなった。1打目以降も全てティーアップして打つという方法だったが、大人顔負けのスコアを出してから、のめり込んだという。
ゴルフをやると言い出した一貴に、「1日休めば3日戻る」と難しさを伝えたが、これが火を付けることにもなった。「熱を出しても練習に行こうとしていた」と思い返す。夜遅くまで練習に付き合った日々。「ゴルフがずっと好きだったから、その思いに奇跡が重なったのかな」と堂々とホールアウトする息子の姿を誇らしげに見つめた。
スポーツ選手で一番になってほしくて付けた名前。「欧州、米国と上を向けばいくらでもある世界。小さな体でも大きな人たち相手に暴れ回ってほしい」と今後のさらなる飛躍を期待した。
(謝花史哲)