【カタールW杯】森保ジャパン、鉄壁のコスタリカを崩せず自滅 強気“攻撃的采配”が空回り

FIFAワールドカップカタール2022・グループE第2節、FIFAランキング24位の日本はグループE第2節で同31位のコスタリカ代表と対戦。日本は1試合通じて相手の3倍以上となる14本のシュートを放ったが、コスタリカの堅守に苦戦し得点を奪えず。

逆に後半36分に自分たちのミスから痛恨の失点を喫してしまう。コスタリカが後半に放ったシュートは得点が生まれた1本のみだったが、試合はそのまま0-1で惜敗した。

■ドイツ戦から先発5名変更した日本

23日に行われた初戦で優勝4度の強豪ドイツ代表(11位)を相手に2-1と逆転勝利を挙げた日本は先発メンバーを5人変更。[4-2-3-1]システムの前線右サイドにドイツ戦で同点ゴールを挙げた堂安律(フライブルク)が入り、左サイドと1トップには大会初出場となる相馬勇紀(名古屋グランパス)と上田綺世(セルクル・ブルッヘ)がそれぞれ抜擢した。

負傷で出遅れていた守田英正(スポルティングCP)もボランチで先発し、右サイドバック(SB)では山根視来(川崎フロンターレ)がW杯デビュー戦を迎えた。守田と山根、ドイツ戦で決勝点をアシストしたDF板倉滉(ボルシアMG)はパスワークに長ける川崎フロンターレ出身。3選手の同時起用には、この試合の狙いが透けて見えた。

個でも組織でも格上の相手にボール支配率が31%に止まり、26本のシュートを浴びたドイツ戦とは異なり、コスタリカはFIFAランクで日本を7つ下回る。プレースタイル的にも自陣深くに守備ブロックを構えてカウンターを狙う戦術を得意としていることもあり、日本がボールを支配して試合の主導権を握る展開が想定されたからだ。

コスタリカは初戦でスペイン代表(同7位)に0-7と大敗したが、日本戦は一戦必勝モードで得意の堅守を軸に入って来た。日本は開始早々から相手ゴール前に迫るも、15分頃には停滞。ただ、右サイドの山根、左サイドの相馬が両ワイドに張り、インサイドにも右に堂安、左に鎌田がポジションをとることで、ピッチ全体を広く使う「幅」は取れていた。

ボールを奪われても即時奪回できる配置と循環がチーム全体で整理されており、失点のリスクを避けながら戦うのは悪くなかった。前半はお互いにチャンスらしいチャンスを作れずにスコレアレスで折り返したが、両チームともに想定の範疇だっただろう。

■後半にまさかの決勝弾で敗戦

後半、森保一監督はハーフタイム明けから完全な3バックを敷くために左SB長友佑都(FC東京)に替えて、DF伊藤洋輝(シュツットガルト)を投入。さらに攻撃の「幅」と同様に重要な「深さ」をもたらせなかった上田に替え、ドイツ戦で値千金の決勝点を奪ったFW浅野拓磨(ボーフム)を投入。

日本は浅野が積極的に裏を狙うことでチーム全体が前に出てチャンスを作ったが、前半同様に徐々に停滞していった。それでも、この試合で勝たなければグループステージ突破が苦しくなるコスタリカは、いずれ勝負をかけて前に出て来る。試合運びとしては悪くない。

しかし、森保監督はドイツ戦で成功した強気の選手交代を続けた。後半17分に山根に替えて、MF三笘薫(ブライトン)、後半22分には堂安に替えて、FW伊東純也(スタッド・ランス)をピッチに送り出した。いずれもパスの出し手となれる選手から、仕掛けることに特化したアタッカーへの交代。勝ちに行くための攻撃的な采配だったが、攻撃のリズムが単調になってしまった。一方、コスタリカは日本がこれだけ動いた状態でも頑なに守備に徹していた。後半に入って1本もシュートを記録していない事実がそれを証明していた。

試合後の森保監督が、「失点以外は狙い通り」、と語っていたのは、押し込んだうえで南野拓実(モナコ)を投入し、コスタリカを仕留めにかかる準備が整っていたからだろう。しかし、強気の積極采配は空回りしているようにも見えた。

その南野がピッチサイドに立った後半36分、コスタリカのサイド攻撃に対して伊藤と吉田麻也(シャルケ)の2人が続けて中央に中途半端なクリアを続け、相手に奪われた。ゴール前に駆け上がったフリーの選手へパスが通る。左足での力みのないループシュートが吉田に当たりながらも放物線を描いてゴールに吸い込まれた。ゴールを挙げたのは前半に相馬、後半は三笘をマークし、日本が最も攻撃を仕掛けたいエリアで奮闘していたDFケイセル・フレール。誰よりもピッチで存在感を示した選手による華麗なゴールだった。

失点後、日本は左サイドから三笘が強引にも思えるドリブル突破で複数のDFを剥がして決定機を作るも、世界的名手のGKケイラー・ナバス(PSG)をはじめとした、鉄壁のコスタリカ守備陣を崩すことはできず。0-1で惜敗した。

■敗因はいくつもある

敗因はいくつもある。まずはそこまで選手個々の能力では差がない中、システムを噛み合わせたこと。

また、攻撃が停滞したのは、パスの出し手が不足したからだ。「良いパスの出し手」は、受け手にボールだけでなく、「時間」と「スペース」も供給できる。自らがボールを持ち運んで受け手のマークを吸収し、受け手が前を向いた状態でパスを供給できるからだ。しかし、この試合の後半はパスの出し手より条件の悪い選手へとボールが流れる場面が散見された。

その原因は指揮官の采配にあるが、選手達にもある。本当に目の前のコスタリカとだけ戦い、コスタリカに勝つためだけの采配やプレーだったのか、に疑問が残るからだ。

この試合のあとグループEの第2節では、スペイン対ドイツの試合が行われ1ー1のドローに終わっている。ドイツが勝てば、最終節で日本がスペインに勝たなければいけない状況が生まれていただけに、それを考えての焦った采配やプレーだったように見える。コスタリカとの引き分けも想定していれば、違う選択肢もあっただろう。試合前も試合中も終始追い込まれていたのはコスタリカの方だったが、日本の方が常に追い込まれていたようだった。

コスタリカに敗れて1勝1敗となった日本は2大会連続4度目の決勝トーナメント進出へ向け、グループEの最終節でスペインと対戦する。最低でも引き分け以上が求められる2010年の南アフリカ大会覇者との一戦は、日本時間12月2日の早朝4時キックオフとなる。

文●新垣博之(しんがき・ひろゆき)

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