代表のカップ移籍に伴い、カイル・ブッシュ・モータースポーツもシボレーへのスイッチを表明/NASCAR

 2022年限りで15年間在籍したジョー・ギブス・レーシングを離れ、2023年は心機一転シボレー陣営のリチャード・チルドレス・レーシング移籍を決めたカイル・ブッシュの動きに伴い、自身が運営するカイル・ブッシュ・モータースポーツ(KBM)もトヨタからシボレーへのスイッチを表明。来季よりNASCARキャンピング・ワールド・トラック・シリーズ改め『クラフツマン・トラック・シリーズ』となるシーズンに向け、2台の『シボレー・シルバラードRST』を投入し、こちらも移籍組のジャック・ウッドとチェイス・パーディを起用するとアナウンスした。

 一方、そのKBMとは対照的にフォード陣営として戦ってきたデビッド・ギリランド・レーシングは、来季よりトヨタに“復帰”して新生トリコン・ガレージとして4台体制を構築。タナー&テイラー・グレイと、コーリー・ハイムがフル参戦し、4台目はラウンごとにトヨタの若手有望株にシートを提供するという。

 改めて、2022年NASCARカップシリーズを最後に慣れ親しんだ18号車トヨタ・カムリのシートを離れる決断を下したカイルだが、自身が運営するKBMでエントリーするトラックシリーズでも、その動きと連動するかたちで想定どおりのマニュファクチャラー変更を発表した。

 王者ベン・ローズ(ソースポーツ・レーシング/トヨタ・タンドラTRD-Pro)を撃破し、ゼイン・スミス(フロントロウ・モータースポーツ/フォードF-150)が悲願の初タイトルを獲得した最終戦フェニックスの週末を前に、カイル率いるKBMは改めて、来季よりシボレー陣営として参戦することを正式に表明している。

「2023年のKBMには明らかに多くの変化があるだろうが、組織としての目標はこれまでと同じままだ。レースに出て勝利し、若いドライバーに必要なすべてのものを提供することだ。ラインアップを構成する彼らが、その可能性を最大限に発揮することができるようにね」と若手育成の理念を語ったカイル。

 同時にKBMは、2022年にARCAメナーズ・シリーズ・チャンピオンシップでタイトルを獲得したニック・サンチェス、ならびにレブ・レーシングとのジョイント体制も構築し、サテライトとして技術提携を結び3台目のシルバラードも走らせる。

「これらの目標を2台のトラックで達成するだけでなく、新たにレブ・レーシングがトラックシリーズに昇格する。そのプログラムで若いドライバーが前進するためのパイプラインを作成するのに際し、彼らのキャリアを次のレベルに引き上げるべくKBMが適切な人材を配置し技術サポートを提供する」と続けたカイル。

 そのKBMに移籍して51号車のシボレーをドライブする元GMSレーシングのジャック・ウッドは、少なくとも10戦でステアリングを握り、残るラウンドのうち5戦をカイル自身がドライブする計画となる。

2023年のCraftsman Truck Seriesでも、カイル・ブッシュ自身が少なくとも5戦でトラックに乗る計画だ
2022年は服部茂章率いるHattori Racing Enterprisesで『トヨタ・タンドラTRD-Pro』をドライブしたチェイス・パーディ
シボレー陣営内移籍となる元GMS Racingのジャック・ウッドは、少なくとも10戦でステアリングを握る

■チェイス・パーディが服部茂章率いるHREから移籍

「西海岸でレースをして育った僕が、カイルと一緒にトラックを共有することになるとは夢にも思わなかった。これは本当に一生に一度の機会であり、どれほど興奮しているかを言葉で表すことさえ難しいよ!」とKBM加入の喜びを語ったウッド。

「間違いなく史上最高の選手のひとりから学ぶ機会を得たことは、僕にとって信じられないほどの経験になるだろう。これを可能にしてくれたシボレーとKBMのすべての人に心から感謝している」

 また、2022年は2台体制を敷いた服部茂章率いるハットリ・レーシング・エンタープライズで『トヨタ・タンドラTRD-Pro』をドライブしたチェイス・パーディは、その役目を終えてKBMとの複数年契約を締結。新たに4号車の『シボレー・シルバラードRST』で新シーズンに挑む。

「No.4のトラックでステアリングを握る機会に感謝しているし、僕の目標はKBMが生み出した勝者の長いリストに加わることだ」と意気込むパーディ。「KBMには本当に速いトラックを作る素晴らしい人たちがいるし、次の2年間で一緒に大きなことを成し遂げられると確信している。僕をこのポジションに導いてくれた関係者全員に感謝しているし、来季が始まるのが待ち切れないよ!」

 一方、2018年と2019年にトヨタと手を組んでいたデビッド・ギリランド・レーシングは、ひさびさにフォード陣営から復帰して北米TRDと新たなパートナーシップ契約を締結。新生“トリコン・ガレージ”として、来季は4台の『トヨタ・タンドラTRD-Pro』を走らせる。

「トヨタは、この拡大されたパートナーシップで彼らとの旅にふたたび参加できることをうれしく思う」と語るのは、現地TRD代表のデビッド・ウィルソン。

「トヨタの開発ドライバーとパートナーが、装いも新たなトリコンの成功と勝利の文化を体験できる、この新しい機会に興奮している。トラックシリーズはトヨタにとって非常に重要であり、彼らが20年目の勝負を始めるのに際し『tri』と『icon』の組み合わせに基づいて、組織内のパートナーとともに“3つの選手権を獲得する”という彼らの計画と決意を表明するものだ」と、今季2022年はトヨタとして通算13回目のマニュファクチャラーズタイトルを獲得したウィルソン代表。

 主軸のタナー・グレイは15号車で参戦し、テイラーは18歳を迎えるCOTA(サーキット・オブ・ジ・アメリカズ)以降のラウンドでフルタイム参戦を開始。そして来季2023年が自身初のフルタイム・イヤーとなるコーリー・ハイムは、11号車でのエントリーを予定している。

フォード陣営として戦ってきたDavid Gilliland Racingは、来季よりトヨタに”復帰”して新生Tricon Garageとして4台体制を構築する
主軸のタナー・グレイ(右)は15号車で参戦し、テイラーは18歳を迎えるCOTA(サーキット・オブ・ジ・アメリカズ)以降のラウンドでフルタイム参戦を開始する
『フォードF-150』を走らせていたDavid Gilliland Racingは、来季『トヨタ・タンドラTRD-Pro』の4台体制で挑む

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