『平和の祈りを灯籠に』 片島魚雷発射試験場跡 長崎・川棚

竹灯籠の明かりで戦時遺構を彩った片島竹灯籠まつり=川棚町、片島魚雷発射試験場跡

 長崎県東彼川棚町三越郷の片島魚雷発射試験場跡(片島公園)を約1500個のともしびで包む「川棚片島竹灯籠(とうろう)まつり」が26日開かれ、訪れた人が幻想的な雰囲気に浸った。
 試験場は1918年に開設。終戦まで旧日本軍の魚雷の性能試験に使われていた。平和を願う場所として地域活性化につなげようと住民らでつくる実行委が2015年に始めた。昨年、一昨年はコロナ禍のため、オンラインで有志が点灯の模様を配信。3年ぶりの一般公開となった。

天井が朽ちた建屋に生えた樹木は和紙の花で彩られた

 今年のテーマは「花」。企画した同町地域おこし協力隊員の延山幸子さん(38)は「前向きなイメージと過去の歴史に花を手向ける」との願いを込めた。石造りの建屋には県立川棚特別支援学校高等部生徒が作った和紙の花をつるした。川棚少年合唱団は、東日本大震災の復興支援ソング「花は咲く」を披露し、澄んだ歌声が辺りを包んだ。
 長崎市から夫婦で訪れた会社員、渡辺正敏さん(59)は「昼とは雰囲気が異なり、地元の方の思いが伝わった」と話した。


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