「鎌倉殿の13人」柿澤勇人、寛一郎、生田斗真が語るそれぞれのラストシーン

NHK総合ほかで放送中の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜午後8:00ほか)。11月27日放送・第45回「八幡宮の階段」で最後の登場となった、源実朝役の柿澤勇人、公暁役の寛一郎、源仲章役の生田斗真がコメントを発表した。

三谷幸喜が脚本を担当、小栗旬が主演を務める「鎌倉殿の13人」は、源頼朝(大泉洋)の妻となった北条政子(小池栄子)の弟・北条義時(小栗)を主人公に、地方の豪族から頼朝の第一の側近となった義時が、その後いかにして頂点に上りつめたのかを、鎌倉幕府を支えた武士たちの姿を絡めて描くもの。

実朝は、頼朝と政子の次男で義時のおい。3代将軍として優れた政治を行うが、その悲劇が京と鎌倉の激震を呼ぶ人物。第45回では、鶴岡八幡宮の大階段で公暁のあだ討ちにより命を落とした。

その最期を演じた柿澤は「実朝は今まで鎌倉殿・3代将軍として生きてきて、大変なことがいっぱいありつつも、一生懸命、果敢に取り組んで政(まつりごと)にもちゃんと向き合ってきました。うまくいかなかったりとか、悩んでいたり、苦しんでいたりしたものも、最期にはある意味、すべてを受け入れて。政以外にもおばば(歩き巫女/大竹しのぶ)に言われていたこととか、そういったものがあの一瞬のうちに一気に走馬灯のように頭の中を駆け巡り、すべてを理解したというか。『これで天に行けるんだ』じゃないけど、『父(頼朝)や兄(頼家/金子大地)のところに行けるんだ』みたいな思いはありましたね」とその心中を明かす。

そして、実朝の人生について「生まれた環境や時代がもし違っていたら、ものすごくいい将軍だったと思うし、将軍であること以前に、ものすごくピュアで真っすぐないい人で。現代にも通じると思うんですけど、『こういう人が本当に生きていたらいいな』と思うような心の持ち主だったのかなと思います。ただ、残念なことにこの鎌倉の時代に生まれてきて、環境がたまたまそういった激動の陰惨な環境だったりもするので、そこがやっぱり悲劇というか、とてもかわいそうな人生だったなと思いますね」と思いやる。

さらに、「ただ一方で、僕はやっぱり役者なので、芝居をやっていて苦しいとか、しんどいなというのはかなり多かったし、実際、撮影を経ていくとだんだん顔がやつれていって、体重も落ちていきましたね。それは自分でも如実に分かっていて、でもそれは役者としては本当にありがたいことで、すごく矛盾しているかもしれないですけど、その実朝の苦悩みたいなものが、役者としてはすごく幸運なことだったというのは、最期のシーンを経て思いました」と振り返っている。

一方、公暁は、2代将軍・頼家の次男で、母はつつじ(北香那)。父の無念を晴らすため、実朝を暗殺する。

そんな公暁の行動に関して、寛一郎は「彼のすがりどころとしては、もう実朝を殺す、というところなんです。北条義時も標的ではありますけど。とにかく実朝を殺せばなんとかなるんじゃないかと、自分が生きるために殺さなければならないと。でも、第44回で公暁は実朝との共鳴というか、会話、対話をしてみて、最後に『だまされるものか』と言うんですけど、それはもう彼がずっと生きてきた中で芽生えた猜疑心というか、自分が生き抜くためにはだまされてはいけない、という猜疑心からも、本来だったら手を取り合える仲だったかもしれないけど、やはり殺すという決断をした」と見解を示す。

続けて「大階段のシーンは本来、最初に義時を殺して次に実朝を殺すという献立でしたけど、思いもよらぬ仲章という、よく分からないヤツを殺してしまい、そのパニックもあるんですけど、最終ゴールは実朝、という公暁なりのプランがあったので、最後に実朝を殺しました。でも恨んでいた相手が本当はいいヤツだったって、結構きついじゃないですか、殺す側にとっては。それは薄々、公暁も分かっていたはずなんですよ、『こいつが別に悪いわけじゃない』と。実朝にもそう言っていますし。でも殺さなければいけない、自分が生きるために。だから実朝が最後、自分の小刀を捨ててうなずいた時は結構苦しかったですし、斬った後に『父の敵をとった』という名目の下やっていましたけど、やっぱり気持ちは晴れないんですよね。というより、彼の呪いが解けていくというか、やっと自分の犯したことの重大さに気付いていく、というつもりでやっていました」と語った。

後鳥羽上皇の側近として、義時と後鳥羽上皇の間で暗躍する源仲章役を務めた生田。その最期を演じ、「台本を読んでびっくりしたんですけど、仲章の最期の断末魔というか、最期のセリフが『寒い、寒いぞ、寒いんだよ!』というセリフなんです。普通はやられた時のシーンって、『なぜだ!』とか『貴様!』とかそういうセリフのような気がするんですけれど、三谷さんのセンスというか独特の感性で、こんなにもすてきなセリフというか、すてきなシーンをいただいて、冥利(みょうり)に尽きるなという思いでやらせていただきました。あんなに大きな階段のセットも、ワクワクするような撮影になりましたし、すごくいい日に、思い出深い日になりました」としみじみ。

最期のセリフに関しては「役者によって、というか、言い方一つでどういう捉え方もできるようなセリフをいただいたので、これはなかなか難しい宿題を出していただいたな、という気がしました。仲章は太刀持ちの役割を半ば強引に義時から奪い取るような形で務めるわけですけど、『思ったより寒かった』というのもあると思うんですよね。本当に寒くて、『なんでこんなに寒いんだよ、こんなんじゃ代わるべきじゃなかったな』という怒りもあるだろうし、その『寒いんだよ』の裏には『俺じゃないだろ! なんでお前、間違えたんだよ。なんで俺が斬られなきゃならないんだよ!』という思いもあった。そして、こんなところで自分の人生は終わってしまうのか、こんなはずじゃなかったんだという悲しみの叫びでもあると思います」と解釈を述べ、「オンエアをご覧になった皆さんにどういうふうに受け取っていただけるのか、すごく楽しみにしています」と視聴者の反応に期待を寄せていた。

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