「二度と発生させないように」 豚熱ワクチンを空中散布 3日間で計8千個【動画】

散布するワクチンをヘリコプターに運び込む作業員=28日午前、日光市藤原

 豚熱(CSF)対策として栃木県などは28日、ヘリコプターによる野生イノシシ向けの経口ワクチンを空中散布した。29日までに日光市など3市2町の国有林約160平方キロメートルで、計8千個を散布する。県はまた、県内全農場を対象に衛生管理状況に関する立ち入り検査も進めており、今月中に終了する予定。

 空中散布は県や関係団体などでつくる県豚熱感染拡大防止対策協議会が実施する。ウイルスを媒介する野生イノシシの活動が活発化する秋季に合わせた対策で、昨年11月以来5度目。今回は今月24、28、29日の3日間、日光市の他に那須塩原市、大田原市、那須町、那珂川町で、トウモロコシの粉などで周りを固めたワクチンを散布している。

 28日は日光市藤原の希望が丘公園を拠点に実施。作業員らがワクチンを筒状の容器に詰めた後、容器を乗せたヘリが散布エリアに飛び立った。

 県畜産振興課によると、県内でこの1年間に感染が確認された野生イノシシは計55頭。直近では今月8日、佐野市内で1頭確認されたという。

 一方、7月には那須烏山市の大規模養豚場で国内最大規模の殺処分頭数となる豚熱が発生した。これを受け、県は10月から、県内全152農場を対象に立ち入り検査を改めて実施している。不備が確認され、現地で指導した農場が既に複数あったという。

 同課の谷山和雄(たにやまかずお)家畜防疫班長は「関係者一体となって二度と発生させないよう取り組む」と強調した。

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