全編岡山ロケ「孤独な楽園」完成 片嶋監督最新作、23年初夏公開

倉敷市を中心にロケが行われた映画「孤独な楽園」の撮影風景=2020年9月

 倉敷市を中心に全編岡山ロケを行った映画「孤独な楽園」が完成した。「アジアの純真」などで知られる片嶋一貴監督(64)の最新作で、瀬戸内海に面した町を舞台に、愛を探し求める人々の孤独と希望を描く。2023年初夏に全国公開予定。

 母に捨てられ心に傷を負った少女と、瀬戸内海の島に暮らすスランプに陥った人気小説家。少女が代筆した一通のラブレターをきっかけに、出会うはずのない2人の運命が交錯し奇妙な交流が生まれていく―。少女は長編映画初出演の俳優大坪あきほ(29)、小説家は劇団EXILEの青柳翔(37)が演じる。

 少女の住む港町の撮影地となった同市玉島地区について、片嶋監督は「以前訪れた際、古い建物と新しい建物が混在する町並みに引かれていた」と話す。

 ロケは20年8~9月に行われ、同地区や倉敷市中心部、浅口市寄島町を巡った。玉島のドラム缶橋を渡るシーンや、少女が倉敷市の住宅街で母親を尋ね歩く場面などが登場する。玉島商工会議所などが全面協力し、大坪は「新型コロナウイルス禍での撮影にもかかわらず、地域の人は温かく迎えてくれた。おいしい魚料理を振る舞ってくれたこともあった」と感謝する。

 片嶋監督は「ヒロインが過去のトラウマと苦しみながらも向き合い、一歩踏み出す物語。見た後に勇気づけられる作品になっていると思う」と話した。

 作品は21年秋の公開予定だったが、コロナ禍の影響などで完成が遅れていた。

片嶋一貴監督

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