ラリーのミツビシが復活! 増岡浩総監督「大変誇らしく思う」トライトンで初参戦のAXCR総合優勝

 11月21日から26日にかけて、タイとカンボジアの2カ国でAXCRアジアクロスカントリーラリー2022が行われ、ミツビシが技術支援する“チーム三菱ラリーアート”は、チャヤポン・ヨーター/ピーラポン・ソムバットウォン組105号車ミツビシ・トライトンが総合優勝を飾った。また、僚友のリファット・サンガー/シューポン・シャイワン組118号車トライトンは総合5位でフィニッシュしている。

 新型コロナウイルス感染症のパンデミックによって、2020年から2年連続で中止となっていたAXCRが3年ぶりに復活。ミツビシは、同じく“復活”を果たした『RALLIART(ラリーアート)』ブランドをチーム名に掲げる“チーム三菱ラリーアート”を結成し、ピックアップトラック『トライトン』の改造クロスカントリー車両“T1仕様”を用いて同ラリーに参戦した。

 ミツビシは過去3大会に『アウトランダーPHEV』で参戦した経験を持ち、いずれのイベントでもラリーを完走。2014年と翌15年には電気自動車クラスで優勝を飾っている。トライトンでの初参戦は7年ぶりのAXCR挑戦となり、ブランド復活後のチーム三菱ラリーアートとしても、今回が初めての実戦となった。

 そんな2022年のAXCRは21日(月)のレグ0から、25日(金)のレグ4までがタイのブリーラムを起点とするループステージとなり、最終日26日(土)は隣国カンボジアのシェムリアップ周辺で競技が行われた。総走行距離は6日間で1524kmに上り、このうち637kmが競技区間となっている。

 チーム三菱ラリーアートは、このAXCR2022に臨むにあたって3台体制を敷いていたが、全長約3kmのスーパーSS(SS1)が行われた後、3台目のトライトンを駆るサクチャイ・ハーントラクーンが体調不良を訴え、その後の検査で新型コロナウイルスに感染していることが判明。本格的なラリーが始まる前段階で1台がリタイアすることとなった。

 それでも、チームは残された2台で歩みを進める。翌日のレグ1、今大会最長のステージとなったSS2では105号車を駆るヨーターがトップタイムをマークし、総合でも首位に躍り出る。地元タイ出身のドライバーはトライトンの力強い走りと軽快なハンドリングを武器に、SS3を7番手、SS4を6番手、SS5は5番手と安定した走りを続け、総合2位と8分15秒差で迎えたレグ5のSS6もステージ5番手で完走し見事、チームに総合優勝ももたらした。

優勝したチャヤポン・ヨーター/ピーラポン・ソムバットウォン組と、タイのタント・スポーツが運営する“チーム三菱ラリーアート”のスタッフ アジアクロスカントリーラリー2022

■パンクと足回り損傷の遅れを挽回

 またSS2で右リヤタイヤのパンクに見舞われた後、クルマの足回りを壊し一時は総合8番手に後退しながらも、粘りの走りで総合4番手まで挽回した僚友サンガーは、「チャヤポン(・ヨーター)を徹底的にサポートする」と意気込んで最終ステージに臨み、そのSS6で7番手タイムをマークした。

 この結果、総合順位では『トヨタ・フォーチュナー』を駆る青木拓磨に抜かれ5位となったが、彼もまた安定したタイムを刻み続け、ラリーを通じてトライトンのタフさを証明してみせた。

「今回は市販車の高い信頼性と耐久性をベースに、エンジンや足回りをチューニングした比較的市販車に近い仕様でAXCRに臨みましたが、2台のトライトンは力強い走りを披露して上位完走を果たしたことを大変誇らしく思います」と語るのは、チーム三菱ラリーアートの増岡浩総監督。

「トライトンの性能を引き出して素晴らしい走りを見せてくれたドライバーをはじめ、ラリー車を毎日完璧に仕上げてくれたエンジニア、サポートしてくれたスタッフすべての素晴らしいパフォーマンスがあったからこその結果、そして三菱自動車が長年培ってきたノウハウによる賜物です」

「そして協賛各社様からの多大なるご支援、世界各地のファンのみなさまからの熱い応援メッセージがあったからに他なりません。AXCRの参戦を通じて得たノウハウを市販車の開発にフィードバックし、いっそうタフで力強く頼もしい三菱車をつくっていきたいと思います」

 ミツビシでは“チーム三菱ラリーアート”のAXCR参戦を記念し、2022年大会の開幕日となった11月21日から、トライトン・ラリーカーのレプリカを東京港区の本社ショールームで公開中だ。なお、展示期間は12月上旬までの予定となっている。アクセス方法など詳しくは公式ホームページ(https://www.mitsubishi-motors.co.jp/carlife/hqshowroom/)を確認してほしい。

■2022年AXCRアジアクロスカントリーラリー 四輪部門総合結果(トップ6)

Pos. Driver Car Gap

1 チャヤポン・ヨーター ミツビシ・トライトン 8h22″42

2 ジャラス・ジェンカモルクルチャイ トヨタ・ハイラックスレボ +5’47

3 塙郁夫 トヨタ・フォーチュナー +5’52

4 青木拓磨 トヨタ・フォーチュナー +15’44

5 リファット・サンガー ミツビシ・トライトン +17’14

6 タウィー・ネワンナ いすゞD-Max +28’42

タフさとハンドリングの良さを武器にラリーで強さを発揮したミツビシ・トライトン(チーム三菱ラリーアート) アジアクロスカントリーラリー2022
増岡総監督とチーム三菱ラリーアートの主要スタッフ アジアクロスカントリーラリー2022

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