前竹富町長の控訴棄却 加重収賄、二審も実刑 高裁那覇支部

 竹富町発注の工事を巡る汚職事件で、業者側に入札情報を漏らし、見返りに現金計1700万円を受け取ったとして、加重収賄や官製談合防止法違反、公競売入札妨害の罪に問われた前竹富町長の西大舛高旬被告(74)の控訴審判決で、福岡高裁那覇支部は28日、懲役3年6月、追徴金1700万円とした一審那覇地裁判決を支持し、控訴を棄却した。弁護人は上告について「本人と相談し、検討する」と述べた。

 弁護側は、西大舛被告が罪を認めて反省し、捜査に協力してきたと主張。1期目の退職手当1千万円超を自主的に返納したことなどを挙げ、一審判決の量刑が不当だとして、刑を軽くして執行猶予付きの判決にするよう求めていた。

 谷口豊裁判長は判決理由で、一審判決は量刑上、被告の反省を考慮しているのは明らかだとし、「一審判決の説示に不合理な点はなく、量刑が重すぎて不当だとは言えない」と述べた。

 7月の一審判決は西大舛被告が町議だった時から業者側の接待を受け、町長に就任してから2度にわたって入札情報を業者側に漏らしたと指摘。「現職町長の立場を悪用して犯行を繰り返した刑事責任は重く、実刑判決は免れない」とした。

 判決によると、西大舛被告は2017年に町が入札を行った海底送水管更新工事で、最低制限価格を業者側に漏らし、職務上の不正行為への謝礼と知りながら1千万円を受け取り、20年に入札があった工事についても計700万円を受け取るなどした。

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