今季引退した西武の内海哲也コーチ「高校時代が僕の土台をつくった」 敦賀気比、巨人…インタビューで振り返る

「福井での3年間は一生の宝物」と振り返った西武の内海哲也ファーム投手コーチ=埼玉県所沢市

 今季限りで現役引退したプロ野球西武の内海哲也ファーム投手コーチ(福井・敦賀気比高校出身)が、秋季キャンプ地の球団施設(埼玉県所沢市)で福井新聞のインタビューに応じた。福井に来た高校時代からを振り返り「福井での3年間は僕の一生の宝物」と強調。県民にプロ19年間の応援を感謝した上で、子どもたちには「野球が大好きなら続けてほしい。とにかく諦めないで続けることが大切」とメッセージも送った。

 「北陸のドクターK」と呼ばれた高校時代だが、一度も甲子園に立てなかった。高校最後の舞台は3年生夏の福井大会で、福井商業との決勝だった。延長十回で力尽きた。「10年くらいは決勝打を打たれた場面が夢に出てきた」と苦笑い。ただ、努力する、諦めないというプラス思考はこういった経験で身に付いた、と続けた。「高校時代が僕の土台をつくった。3年間が全てといってもいい」

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 2004年、念願だった巨人のユニホームに袖を通す。当時の投手陣は上原浩治、工藤公康、桑田真澄らそうそうたる顔ぶれで「1年目の夏、これでは終わってしまうと思った」。この不安を打ち消したのは高校時代に培った諦めない精神だといい、自分を奮い立たせたと話す。

 06年に初の2桁勝利となる12勝を挙げ、そこからエースへの道を一気に駆け上がる。07年に最多奪三振で初タイトルを獲得し、11、12年は最多勝。「印象深い登板」と振り返るのは11年に福井県営球場で行われた横浜戦だ。11年ぶりの福井での登板。8回途中無失点と好投し「あのときの“地元感”は忘れられない」と懐かしむ。

 西武移籍4年目の今季、現役生活を終えた。引退試合には「一生ものの仲間」である高校時代のチームメートが駆け付けた。試合後のセレモニーでは高校の2学年先輩、東哲平・現敦賀気比高監督から「敦賀気比高校にとって内海哲也は宝」とのメッセージが披露された。「驚いたけどうれしかった」と笑顔を見せる。

 「平凡なピッチャーだったが、いろいろ考えながらやってきた。弱肉強食の世界でよく19年も頑張ったと(自分を)褒めてあげたい」と内海。現在はファーム投手コーチとして若手を指導しており「自分以外のことを考えるのが初めてで、大変だなというのが今の心境」だという。

 福井の子どもたちには「諦めないことが大切」ということを伝えたいと強調した。今も3年過ごした福井を「第二の古里」という。高校時代から変わらぬ県民の温かい応援は忘れないとし、こう続けた。「19年応援していただいたおかげでプロ野球選手を全うできた。ありがとうございました」

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