事業用EV特化充放電システム開発のYanekara、1.6億円を調達

株式会社Yanekara(以下、Yanekara)は、東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(以下、東大IPC)などから1.6億円の調達を完了した。11月24日付のプレスリリースで明かしている。

Yanekaraは、「地球に住み続ける」をミッションに掲げ、「屋根から」エネルギー自給社会の構築を目指す東大発のZ世代スタートアップだ。一基で複数台のEVを太陽光で充電できる充放電機器(YaneBox)、遠隔制御可能な普通充電コンセント(YaneCube)、それらを群制御するクラウドシステム(YanePort)を開発している。

また、同社は、従来電力を消費するだけだった事業者や消費者が発電をし、EVという蓄電リソースを活用してエネルギー的に自立。くわえて、社会全体の安定供給にも貢献する仕組みを構築する。これにより、再生可能エネルギー(以下、再エネ)のさらなる導入促進、および電力需給ひっ迫の解消に寄与するとともに、「エネルギーテックでローカルを主役に」する仕組みを目指している。

さらに、同社は、北九州市と複数EVに特化した充放電器「YaneBox」を活用し、複数EVを太陽光で直流充電する機能や電力市場価格に連動した、充放電タイミングの制御機能の実証実験に取り組んでいる。拠点の太陽光パネルから直接直流で効率よくEVに再エネを充電するだけでなく、クラウドからの制御で複数EVの車載バッテリーを蓄電池として活用することができる。これにより、導入事業者の再エネ活用やBCP(事業計画性)対策の促進に寄与する。

くわえて、同社は、約70万台の車両管理台数を擁す東京センチュリーグループとEVリース等のモビリティサービスにおける連携を2022年7月に発表した。これにより、さらなるEV普及、再エネの主力電源化を目指している。

今回資金提供したのは、東大IPC、三井不動産株式会社(以下、三井不動産)のコーポレートベンチャーキャピタルファンドである31VENTURES Global Innovation Fund 2号、株式会社ディープコア(以下、DEEPCORE)などだ。31VENTURES Global Innovation Fund 2号は、グローバル・ブレイン株式会社(以下、グローバル・ブレイン)が運用している。

Yanekaraは、今回の資金調達により、さらなるYaneBoxの実証実験の拡大とともに、YaneCubeの量産準備を展開していくという。同時に、充放電器やクラウドシステムの開発を担う人材も積極的に採用すると述べている。

▼関係者のコメント

■Yanekara 代表取締役 吉岡大地氏のコメント

「2021年の9月にシードラウンドの資金調達をさせていただいて以降、弊社は、着実に製品開発、事業開発を進めて参りました。その間に電力需給ひっ迫という社会課題が発生し、その解決と再生可能エネルギーの普及を両立させるための仕組みが求められています。弊社は地域の屋根を起点としたEVによるVPPを社会実装することでこれらの社会課題の解決を目指しております。今回その目的の達成に共感してくださる投資家様にご参画いただけました。『地球に住み続ける』ために必要な自然エネルギーの普及とモビリティーの脱炭素化をローカルを主役にできるエネルギーテックで実現してまいります。」

■東大IPC パートナー 古川圭祐氏のコメント

「前回ラウンドに続き、投資させて頂きました。プロダクト開発/事業開発、共に強力かつ成長著しいチームが出来上がってきていると感じます。次の世代に本気で向き合っているこの若者たちの姿をみていると、『エネルギー自給社会の構築』という壮大なビジョンも、きっと実現しうるものだと信じています。強力なサポーター陣も続々集まっており、これから益々楽しみです。Yanekara社と共にヒトと地球が共生できる未来を創ることを目指してまいります。」

■三井不動産 ベンチャー共創事業部 統括 東松鋭一氏、およびグローバル・ブレイン パートナー 大瀧伸吾氏のコメント

「再生可能エネルギーとEVの導入が加速する中で、エネルギー自給社会の構築を目指すビジョンと経営陣を高く評価し、今回の投資を決定いたしました。再エネのさらなる導入促進と電力需給ひっ迫の解消を強力に推し進めるYanekaraを三井不動産およびグローバルブレインは全力で支援するとともに、街における電力問題の対応ならびにEV化を後押しすることで、社会課題の早期解決など脱炭素社会実現への取り組みを加速してまいります。」

■DEEPCORE Manager 玉岡靖弘氏のコメント

「Yanekaraは創業前に大手企業30社以上から現在抱えている課題のヒアリングを行い、プロダクトの特徴である複数台充電やピークカット充電の構想を作りました。そしてこの一年は実証実験先との対話を通じ、当初の構想をすさまじい速さで形にしてきました。Yanekaraの強さはこの顧客に寄り添う姿勢と実現力にあると感じています。今後間違いなくEVの普及は進んでいきます。その中で、Yanekaraは顧客にとって価値あるものを提供し、社会の変革をリードしていくと信じ、応援していきます。」

© 株式会社自動車新聞社