冬カレーの定番!身体の芯から温まる『シエスタ』のヤキカレー

寒い冬の時期になると食べたくなるのが「焼きカレー」。スパイスと熱々なソースのおかげで身体はポカポカ。こんがり焼けたチーズの匂いが、これまた食欲を刺激するんですよね〜。

ちなみに焼きカレーが生まれたのは昭和中期。福岡県のとある喫茶店が「あまったカレーを土鍋に注いでグラタン風にオーブンで焼いたのがはじまり」だそうです。この喫茶店があったのは、明治から昭和にかけて国際的な貿易港として栄えた北九州市の門司港。全国に先駆けて洋食文化が浸透していた時代背景も関係しているのでしょうか。

そんな焼きカレーですが、石川県にも20年以上にわたって愛され続けるレジェンド級の逸品があるんです。

美的センスあふれる欧風カレーのお店

やってきたのは金沢市四十万町にある『シエスタ』。山田さん夫妻が経営する、欧風カレーのお店です。

今年で創業31年となかなかの老舗。フランスの片田舎で見るような、ツタに覆われた建物がオシャレですよね〜。

こちらは夏のシエスタ。なんだかジブリ映画に出てきそうな雰囲気ですよね。

この季節ごとに変わる建物の表情の豊かさも、定期的に訪れたくなる理由のひとつ。秋過ぎまでは赤く色づいていた葉っぱも、これからどんどん落葉して冬支度を始めます。

お店の中もフレンチテイスト。自然の採光を取り入れた落ち着きのある空間で、シエスタ(お昼寝)したくなるような、のんびりとした雰囲気が漂っています。

ライフスタイル系の雑誌や本もたくさんあるので、カレーを待つ間や食後のコーヒーを飲みながら、ゆっくりと過ごすこともできるんですよ。

こちらは真っ白な塗り壁をキャンバスにして描いたようなエゴン・シーレのポスター。それぞれ美大と芸大出身のご夫婦の美的センスが、店内のレイアウトやインテリアに散りばめられています。

お店の雰囲気を象徴するような「温かさ」と「優しさ」があふれる山田さん夫妻。「31年目の夫婦げんか」なんて映画がありましたが、今まで喧嘩したことあるのかな?と思うくらい、会話の端端から仲睦まじい様子が伝わってきます。

それではさっそく、山田さん夫妻のアイデアが生んだ「ヤキカレー」を注文してみましょう!

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食感&風味豊かな、冬のヤキカレー。

ヤキカレー 1,050円

もともと山田さん夫妻が自宅で作っていたカレーを進化させたのが、こちらの「ヤキカレー」。

「カレーの残りがいよいよ無くなるというときに、鍋に刻んだキャベツと牛乳を入れて、おじやのようにして食べていたんですよ。これにチーズをかけてオーブンで焼いたら、もっと美味しくなるんじゃないか。そんな発想から生まれたレシピなんです」とご主人。

メニューの仲間入りをしてから20年経った現在も、キャベツのサイズ、カレーの濃度、チーズや生クリームのバランスなど、毎年少しずつ改良を加えているそうです。

ごはん、キャベツ、カレー、シュレッドチーズ、生クリーム、パン粉といった材料が、ミルフィーユ状に重なり合っているのが、シエスタ風焼きカレーの特徴。パン粉がサクッと、キャベツがザクザク、チーズがとろ〜りと、食感のコントラストが楽しめます。

この食感を最大限に活かすため、奥様は仕入れたキャベツの水分量に合わせて、毎日切り方を工夫しているそうですよ。

もちろん味の主役となるのは自家製のカレーソース。ご主人はこのソースの味の根底を支えるオニオンチャツネを作るために、まだ日が昇る前から大量の玉ねぎを炒め始めます。飴色のチャツネができあがるまで4〜5時間。想像しただけで、気が遠くなりますね…。

オニオンチャツネに、ブイヨン、スパイス、フルーツ、香味野菜などを加えて、丸2日煮込み、さらに一晩寝かせて、ようやくカレーソースが完成。これがまた濃厚で、美味しいんですよね〜。

カレーを高温で焼き上げていながら、しっかりとスパイスの香りが楽しめるのもポイント。じんわりと後からくる辛さもクセになります。食べ終わった頃には身体がポカポカと、肌寒い季節にもかかわらずじんわり汗ばむくらいでした。

『シエスタ』のメニューは超シンプルで、定番のポーク、チキン、シーフード、野菜、そして季節限定の5種類のみ。今回紹介した「ヤキカレー」は、季節カレーの冬verとなります。数量限定なので「絶対に食べたい」という人は、取り置きがおすすめですよ!

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シエスタ
住所/石川県金沢市四十万町北ワ43-3
TEL.076-296-1316
営業時間/11:30〜20:30(L.O.20:00)※中2時間ほど閉める場合あり
定休日/月曜、火曜日
席数/テーブル20席
駐車場/8台
※こちらの情報は取材時点のものです。

(取材・文/ヨシヲカダイスケ、撮影/林 賢一郎)

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