コロナ、インフル同時流行に備え 長崎県が医療体制強化 発熱1万人でも診療可能に

 長崎県は28日、新型コロナウイルス感染症などに対応する県保健・医療提供体制確保計画を同日付で見直したと発表した。診療・検査や電話・オンライン診療が可能な医療機関を拡充。新型コロナと季節性インフルエンザが同時流行し、発熱患者が1日当たり1万人に達しても診療や入院などの医療が提供できる見込みという。
 今夏の新型コロナの流行第7波では1日最大4610人の感染者を確認。陽性率は68%だったことから、受診した発熱患者を6779人と試算。インフルエンザは感染者が多かった2014~15年シーズンのピーク時(1日当たり3768人)を参考にし、同時流行が起きてピーク時が重なった場合、1日当たり計1万人を超えると想定。このうち実際の受診者は約9400人と試算している。
 新型コロナは昨冬以降、オミクロン株に置き換わり、感染者が爆発的に増加。検査態勢の強化が課題となっていた。県は県・郡市医師会などを通じ、診療・検査医療機関としての協力を要請。11月18日時点で609施設(9月14日時点比19施設増)まで増えた。さらに県の受診・相談センターからの紹介が可能な施設は約4割から7割に増えた。
 また電話・オンライン診療可能医療機関も178施設に増え、平日は1日当たり1310人の受け入れができるという。県の担当者は「かかりつけの患者以外も診る医療機関が増えれば逼迫(ひっぱく)は緩和されるはず」と説明する。
 ただ、休日や夜間は救急外来の逼迫が想定される。このため、県は抗原検査キットや解熱鎮痛剤などの事前購入のほか、救急外来の受診が必要かどうかの判断を冷静に行うよう呼びかけている。具体的には妊婦や高齢者などの重症化リスクがある人と、症状が重い人以外には、受診前に検査キットを活用するよう要請している。
 このほか県は確保病床数を変更。緊急時レベル2以外はいずれも病床数が増えた。県全体の各病床数は▽フェーズ「0」95床(従来82床)▽同「1」133床(同82床)▽同「2」201床(同149床)▽同「3」363床(同330床)▽同「4」511床(同496床)▽「緊急時レベル1」620床(同593床)▽「同レベル2」681床(同721床)。このほか宿泊療養施設の確保室数は900室から626室に減らした。


© 株式会社長崎新聞社