「鎌倉殿の13人」の放送ランキングから最終回動向&視聴傾向を完全分析!~録画視聴データで見るいまどき「大河ドラマ」の最新事情~

NHK2022年大河ドラマ「鎌倉殿の13人」THE BOOK 2(東京ニュース通信社刊)

NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」がいよいよ佳境だ。放送開始当初から注目度の高さが際立っていたが、ここへきてその勢いがさらに加速している。最終回まであと少し。今回は関東96万台を超えるレグザ視聴データを基に、「鎌倉殿の13人」と大河ドラマの見られ方について掘り下げていこう。

「鎌倉殿の13人」は、「新選組!」「真田丸」に続く三谷幸喜脚本による3作目の大河ドラマ。源頼朝をかつぎ、鎌倉幕府を成立させた2代執権・北条義時(小栗旬)を主人公に「坂東武者たちを中心とした武家政権は如何にして誕生し、確固たる存在たり得たのか」を、時にユーモラスに、時に冷徹に、変幻自在の鮮やかさで描く。数多くの登場人物によって、短期間に畳み掛けるように続く謀略と裏切りのスパイラルは、すべてこの時代に本当に起こった史実。三谷が手掛ける大河は、まさに「史実だからこそ」という歴史ドラマの面白さをあらためて感じさせてくれる。放送のたびにSNSが関連ツイートであふれ、視聴者が一喜一憂しながら見ているのが何よりの証拠である。

では、まず「鎌倉殿の13人」の、放送回ごとの「地上波録画視聴ランキング」「BS録画視聴ランキング」の表を見てみよう。ポイントは、どちらも期間内で最も高かった数字を100とした指数で表している(第1話から第41話までの集計である)。

初めに「地上波録画視聴ランキング」。初回が最もポイントが高く、放送回が若いエピソードが上位に並ぶ。近年地上波の大河ドラマでは放送開始時の数字が高く出る傾向があり、「鎌倉殿の13人」もそれを踏襲した形となった(世帯視聴率でも同様の傾向が見られる)。初回から順にポイントが下がっているが、4位に入った第7話「敵か、あるいは」(上総広常が頼朝に味方することを決めた回)と、7位に入った第33話「修善寺」(源頼家と善児が命を落とす回)の好調が目につく。

一方の「BS録画視聴ランキング」。BSの録画視聴においては大河ドラマがめっぽう強く、「鎌倉殿の13人」も放送された41回すべてで週間総合ランキングの1位を獲得するという快挙を成し遂げている。地上波とは違って安定した強さを発揮し、内容の面白さに比例して最近の放送回が上位を占める結果となった。3位と4位に、二人三脚で北条を支えてきた北条時政・義時父子の離反を描いた第37話「オンベレブンビンバ」と第38話「時を継ぐ者」が並んでいるのが味わい深い。

それでは地上波とBSの録画視聴数をグラフで見てみよう。

地上波が全体に右肩下がりで推移しているのに対して、BSの方は次第にポイントを伸ばしていっているのが分かる。最高ポイントは第33話の「修善寺」であった。そして面白いことに、全体の動きは異なるが、伸びている回は共通している。やはり物語のポイントとなるエピソードには注目が集まっていることが分かる。

大きな意味でドラマの様相が変わったのは、やはり源頼朝が落馬して不慮の死を遂げ、跡目争いが始まる第26話以降だろう。BSのグラフは明らかに勢いを増しているし、地上波も回によって高いポイントを記録している。この頃は毎話誰かが退場していく展開で、その退場の仕方がおのおの工夫されていて、同時に役者にとってもきちんと見せ場となっていたので、注目度も高まったし、複数回視聴する人も多かったように思われる。史実によると今後も退場の動きは加速する。引き続き目が離せない。

続いて、過去の大河ドラマとの比較である。記録が残っているものの中から、同じ三谷作品である「真田丸」以降の6作品と「鎌倉殿の13人」のポイントを比較してみた。

地上波、BSともに「真田丸」の強さが光る。「真田丸」は平均世帯視聴率でもこの7作中最も高い数字をたたき出していて、近年の「最強大河ドラマ」と言っていいと思うが、「鎌倉殿の13人」はその「真田丸」に次ぐ好成績を残している。

地上波の動きを見ると右肩下がりの度合いは「真田丸」より小さい。途中で離脱する視聴者がより少なく、同時に評判を聞いて途中から見始めた層も少なからず含まれていると考えられる。またBSのグラフでは、「鎌倉殿の13人」だけが緩やかながら少しずつポイントを上げる特徴的な動きをしているのが分かる。

そしてもう一つこのグラフから分かるのは、過去の大河ドラマは、多かれ少なかれ最終回で必ずポイントをアップさせているということである。特に「真田丸」と「麒麟がくる」は伸び幅が大きい。そして「鎌倉殿の13人」も、三谷自身や台本を読んだキャストたちがこぞって「すごい最終回になる」というメッセージを発信するなど、今から期待感が高まっており、最終回で大きくポイントを伸ばす可能性が高いと考えられる。

その理由が実はもう一つあり、「真田丸」の最終回は、裏で鹿島アントラーズとレアル・マドリードの「サッカークラブワールドカップ・決勝」が26.8%の高視聴率を取っていた。そして「鎌倉殿の13人」の最終回の日には、高視聴率必至の「M-1グランプリ2022」が放送される。視聴者層が違うとはいえ録画視聴ポイントが伸びる要素は十分で、最終回で「真田丸」を上回る可能性もある。

承久の乱で後鳥羽上皇と激突するクライマックスへ向け、ここから物語は最高潮を迎える。義時の最期がどう描かれるかも含め、興味は尽きない。最後まで見届けていきたいと思う。

文/武内朗
提供/TVS REGZA株式会社

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