高齢者「免許更新できるか不安…」 改正道交法施行から半年 佐世保で講習体験会

運転技能検査を体験する高齢者(右)=佐世保市沖新町、佐世保中央自動車学校

 改正道路交通法が5月に施行され、75歳以上で速度違反など一定の交通違反歴がある人が運転免許を更新する際、運転技能検査(実車試験)が義務付けられた。施行から半年が経過し、自動車学校などの「検査する側」、検査を受ける「高齢者ドライバー」の双方に実情を聞くと、地方ならではの課題や工夫の必要性も見えてきた。

■ 60年前

 9月中旬、長崎県佐世保市の佐世保中央自動車学校で「運転技能検査」を含む高齢者講習の体験会があった。参加した80代男性は約60年前に免許を取得。「運転能力や衰えを知る機会。思っているより、体が動かなくなっているだろう」と話した。
 同検査は、右左折や一時停止、指定速度での走行などの課題を受ける。免許有効期限の半年前から受検が可能で、不合格だと免許を更新できないが、期限内に繰り返し受検できる。

受検する高齢者に分かりやすく説明するため、佐世保中央自動車学校ではミニカーと段ボールを使っている

 地方では、自動車は貴重な「生活の足」。別の80代男性は「毎日車で買い物に行っている。スーパーまで遠いし、荷物も多い。バスでは厳しい」とこぼす。中には、免許の更新ができるか不安で「1週間前から十分に眠れなかった」という人もいたという。

■ 悪い癖

 20代で免許を取った後、講習を受けていない高齢者ドライバーも多い。同校の浦郷泰孝校長は、その間に不十分な一時停止など事故につながりかねない「悪い癖」が付いている場合もあるという。
 一方、口頭で試験内容を説明するため、内容を勘違いして不合格になった人も。同校は分かりやすいようにミニカーを動かしながら説明している。渡邊昭仁指導員は「どの学校でも分かりやすく、丁寧な説明が大事」と強調。県警運転免許管理課の山下伸二次席(59)は「(各校から)話を聞いた上で改善していかないといけない」と語る。
 同課によると、県内では10月末時点で367人が受検、325人が合格した。不合格だった42人のうち31人が再受検で合格。不合格のままの11人のうち2人が免許を自主返納した。
 本年度の対象者は約2千人になると想定していたが、半年が過ぎた時点で2割以下。想定人数が多かった可能性もあるが山下次席は「自分の運転を見つめ直す機会。早めに検定を受けることが安全運転の保障になる。期限内に合格しないと失効するので、該当する人は余裕を持って、早めに受けてほしい」と呼びかけている。


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