シングルマザーの運転免許取得、費用を全額支援 おきなわ子ども未来ネットワーク「取得は自立への一歩」

 一般社団法人「おきなわ子ども未来ネットワーク」(山内優子代表理事)は、運転免許取得を希望しているシングルマザーに、オートマチック車の免許取得費用約30万円を全額支援する取り組みを始めている。県の「2022年度子ども未来応援助成事業」の予算200万円を活用した取り組みで、若干名が対象。県内のどの自動車教習所でも通うことができる。申込時に法人の職員が同行し、講習のペースは本人が決める。

 同法人は若年妊娠・出産した女性たちの支援に取り組んでいる。これまでの活動の中で、免許がないまま赤ちゃんを抱えて生活する母親たちの姿を目の当たりにし、支援の必要性を感じていたという。

 車社会の沖縄では免許がないと仕事の幅が狭まったり、子どもの通院や買い物に行きづらくなったりと、生活に大きな影響が出る。外に出づらくなると、母親と赤ちゃんが家で孤立する事態にもつながりかねない。

 山内代表理事は「赤ちゃんが生まれたあとの生活に、免許があるのとないのとでは天と地の差がある。免許があると間違いなく自立の一歩になり、沖縄の親子が救われる。必要としている人は気軽に問い合わせてほしい」と話した。

 一方で県内では託児所がない教習所も多いことから、教習を受けている間の子どもの預け先の確保に課題が残るという。また各市町村の支援団体や行政が免許を必要としているシングルマザーの存在を把握しきれておらず、これまでニーズが見過ごされてきた可能性があることも指摘した。

 山内代表理事は「行政や機関などが免許取得やその後の生活をサポートする体制を構築することが必要だ。これを機に各市町村それぞれ支援に取り組んでほしい」と訴えた。受け付けの締め切りは12月5日。問い合わせはおきなわ子ども未来ネットワーク電話098(989)7301。

 (嶋岡すみれ)

© 株式会社琉球新報社