給付型奨学金案、足立区が12月区議会提出へ

東京都足立区は返済不要の全額給付型奨学金の新設を決め、2023年度からの実施に向けて12月1日開会の区議会定例会に区育英資金条例の改正案を提出する。低所得層と中間所得層を対象に40人程度に支給する予定で、この規模の給付型奨学金を地方自治体が支給するのは珍しい。

足立区によると、奨学金の支給対象は区内在住の保護者がいる大学生や入学予定者で、高校や大学等の成績が5段階評価の4以上、保護者の年収が4人世帯のモデルケースで800万円以下。上限金額は私立大学に進学した場合にかかる4年間の各学部の平均費用を国の調査を基にその1.5倍として、費用が高い医歯系学部への進学にもある程度対応できるものにした。

例として、私立大学理系学部の場合は4年間で約826万円。その範囲内で入学金や授業料、大学に求められる施設整備費実費を全額給付する。区議会で条例改正案が議決されれば、2023年度の募集を1月から始める。募集人員は約40人を予定している。財源は特別区競馬組合からの分配金や寄附を積み立てた区の基金を当てることにしている。

足立区はこれまで、貸付型の奨学金制度を設けてきたが、卒業後の返済負担が大きいなどとして利用者が減っていた。このため、返済不要の新制度創設に踏み切った。新制度が開始されれば、現行の貸与型奨学金の新規募集は打ち切りとなる。

参考:

【足立区】令和4年11月22日 定例記者会見

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