子どもたちのあきらめない気持ちを育みたいと、元F1レーサーでプロ自転車チームを率いる片山右京さん…。
自転車競技を体験できる特別教室を開きました。
東広島市の自動車学校で開かれた通算11回目の「片山右京チャレンジスクール」。集まった小学生以下の子どもたち21人に、右京さんが語りかけます。
片山右京さん
「夢とかってねえ、がんばってやりたいっていうと、意外となれるの」
「みんな、1日がんばるぞ」「おお!」
まずは自転車の基本的な交通ルールから学びます。
「道路の左側、左手の方向、これが左側通行っていうんですね」
2009年に始まったこのイベント。コロナ禍で中断した2年間を除き毎年、続いています。スタッフとして盛り上げるのは、東広島市に拠点を置く「チーム右京」の育成チーム「レブ(=フランス語で夢)」。高校生を中心とした8人のメンバーが、デモ走行を披露します。レブはことし、11人が新加入し、来シーズンは総勢30人でレースに挑むそうです。
そして、未就学児たちが自転車にまたがり、レースです。中には、補助輪付きのかわいらしい姿も…。続いては、小学生のレース。こちらはより本格的となり、ラン300メートルと自転車600メートルからなる「デュアスロン」に挑戦です。
子どもたちに全力を尽くす大切さを感じてほしいと願う右京さん。このイベントに「レース」として競う要素を取り入れることが、何より欠かせないといいます。
片山右京さん
「みんな、いつも誰かが横を走っていて、『比べられているぞ。負けたくない』と感じさせると、向上心が生まれますから。負けて悔しいってことを覚えることの方が…、すべてではないけど、だったらがんばろうねって準備すると、次は勝てるから。実は才能よりも(向上心のほうが力を伸ばすには)はるかに大きいってことが、みんな、年を取るとわかるんですけどね。準備した者が勝つというのが」
そのため、チャレンジスクールのレース体験には「2回目」が用意されています。1回目を上回る体験が、子どもたちにとって何より効果があると信じているからです。
片山右京さん
「1回目のタイムを超えられるように、さっき、どこかで失敗したとか、ちょっと思い出して、少しでもタイム詰められるように全力でやってね」
疲れをものともせず、すべての子どもたちが全力でチャレンジ。1回目のタイムを上回ることに成功しました。
片山右京さん
「その瞬間にこれ、やるっていうときは集中してやるの。今、この瞬間をがんばってやろうと。そうすると、すごく良いタイムが出たり、勉強でもすごく染み込むからね」
参加した子どもの父親
「経験された中から言われるので、説得力がありますよね」
参加した子ども&母親
「集中力とあきらめない!」「あきらめない!」
タイムを一番縮めた男の子たちには、片山右京さんがサプライズ。マツダロードスターの助手席に乗せて、「プロの高速ドライブ」をプレゼントしていました。さすがは元レーサーのハンドルさばきでした。
このスクールはもともと、片山右京さんが憧れていた広島出身の天才ドライバー・高橋徹さんのお兄さんとの縁がきっかけで始まりました。
会場には、高橋徹さんが乗っていたレーシングカーも展示。レース中の事故で23歳にして亡くなった高橋徹さんの「あきらめない気持ち」をこうして今もつないでいます。