尖閣諸島・北方領土・沖ノ鳥島・竹島といった「日本人が行けない日本領土」を撮り続けた国境カメラマン全記録! 『中国・ロシアに侵される日本領土』

山本皓一・著『中国・ロシアに侵される日本領土』が小学館より好評発売中だ。 尖閣諸島・北方領土・沖ノ鳥島・竹島といった「日本人が行けない日本領土」の現地最新レポートが詳細に記されている。 2022年2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵攻は年内に収まる兆候がない。日々、人的・物的被害は拡大し、先の戦況も見えない。 「日本の領土・領海」でありながら、日本人が近づくことさえ難しい国境の島々を、30年以上にわたって取材してきた著者は「プーチンのウクライナ侵攻は対岸の火事ではない」という。

《少しでも多くの日本人に国境の姿を見てもらい、国家主権の柱のひとつである「領土」について考える材料を提供したい──そのような思いから今日まで30年以上にわたって取材・撮影を続けてきて今に至る。そんな中で起きたのが、2022年2月のロシア軍によるウクライナ侵攻だった。

広大な国土を持つロシアは、日本にとって「隣国」である。「本土最東端」とされる納沙布岬(北海道根室市)から、ロシアが実効支配する歯舞諸島の貝殻島まではわずか3.7キロの距離しかない。

日本がロシアに経済制裁を加えたことにより、北方四島の現島民(ロシア人)と旧島民(日本人)による「ビザなし交流」は中断し、9月5日にロシアは一方的に交流の協定破棄を発表した。さらに、日露平和条約締結交渉も凍結された。ただちに「ロシアによる北海道侵攻」が起きるような状況ではないとはいえ、領土を奪われ、故郷を追い出されたウクライナ人の姿が、かつて日本人が経験した悲劇と相似していることは、今も生き残る島民たちが証言しているとおりである。

武力による侵攻と領土支配は現代でも起こりうるという厳然たる事実を目の当たりにした今、実行支配を許してから77年もの年月が経過した「北方領土」について、私たち日本人は無関心を脱却しなければならないと思う。》

(本書「まえがき」より)

領土問題は北のロシアだけではない。先日行なわれた習近平国家主席と日中首脳会談で、岸田総理は尖閣諸島について深刻な懸念を示していると中国側に伝えた。尖閣諸島海域ではほぼ毎日のように中国艦船の「領海侵入」が発生し、日本の海上保安庁との“海戦”が起きている。日本の最南端・沖ノ鳥島は、中国が「日本の領土ではない」との主張を強め、習近平が狙う太平洋進出の“標的”となっている。 さらに、韓国による実効支配が続く竹島では、「日本人が経済活動を営んでいた歴史」が次々と消されている。 以下は本書の内容の一部だ。

◉中国海警船をブロックする海保巡視船

◉「上陸すると大変なことになるよ」

◉ロシアに金銭を支払って漁をする

◉国後島でロシアが軍事演習?

◉16センチの「島」が確保する広大な排他的経済水域

◉「日本国旗を持ってたりしませんよね?」

◉「日本的な痕跡」はすべて消されていた

◉2022年、日本最西端・与那国島に走った緊張

◉要塞化された馬祖島

著者が本書で訴えたいことは、「領土を返せ」「領土を守れ」というスローガンではなく、日本の国境で起きている現実と、それらの島々で生きてきた日本人の歴史に目を向けてほしいという思いだという。「日本人が行けない日本領土」であるからこそ、日本人のカメラマンが撮影し、記録し、後世に伝える意味がある。国境の島をめぐる現実を豊富な写真とともに伝える。

【著者プロフィール】

山本皓一(やまもと・こういち)

1943年、香川県高松市生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。小学館の写真記者勤務を経て、フリーランスの報道写真家に。主な著書に『田中角栄全記録』(集英社)、『写真追跡・知られざる板門店』(講談社)、『地球見聞録』(飛鳥新社)など。『来た、見た、撮った!北朝鮮』(集英社インターナショナル)で第35回講談社出版文化賞・写真賞受賞。1990年にジャーナリストとして択捉島に初上陸を果たして以来、「日本の国境」を取材テーマに据え、北方領土、尖閣諸島、竹島、沖ノ鳥島、南鳥島などを現地取材。『日本人が行けない「日本領土」』(小学館)、『国境の島が危ない!』(飛鳥新社)などを発表。日本写真家協会会員、日本ペンクラブ会員。

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