W杯5大会連続弾は「ロナルド」? 混在する表記、本場の発音では…

ロナルドのW杯5大会連続得点を報じた26日付の下野新聞朝刊

 連日、盛り上がりを見せるサッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会。初優勝を狙うポルトガルのエースといえば、FWクリスティアーノ・ロナウドだ。サッカー好きならずとも知る名選手だが、史上初の5大会連続得点を報じる新聞各紙を見ると、偉業を成し遂げた選手の名は「ロナルド」。なぜ「ロナウド」ではないのか-。

 「ロナルド ペレ超え」「ロナルド 史上初5大会連続G」。26日の各紙朝刊スポーツ面には、1次リーグ初戦のガーナ戦での歴史的得点を報じる見出しが並んだ。下野新聞の紙面にも「ロナルド5大会連続弾」と大きな文字が躍った。

 一方で、テレビやスポーツ紙の表記は「ロナウド」がほとんど。新聞各紙の「ロナルド」表記に、ツイッター上では「ロナウドじゃないの?」「なんか気持ち悪い」など違和感を抱く投稿が散見される。

 下野新聞が「ロナルド」とするのはどうしてなのか。見出しやレイアウトを担当する整理部に聞くと「共同通信の表記に準じている」。記事は共同通信の配信記事を使っており、記事内での表記も「ロナルド」で統一されている。

 では、なぜ共同通信は「ロナルド」としているのか。共同通信社の運動部に尋ねると「現地の読み方に近い表記にしている」とのこと。「ロナルド」と同じスペルの「Ronaldo」でも、W杯の歴代得点記録を持っていた元ブラジル代表の名FWは「ロナウド」。ともにポルトガル語圏だが、ブラジルでは単語の途中の「l」を「ウ」と発音するため、そのような表記にしているのだという。

 どうやら、先にブラジル代表の「ロナウド」が活躍したことで、どちらかといえば例外的な読み方が定着し、ポルトガル代表の「ロナルド」に違和感が生まれたようだ。

 最後に、実際のポルトガル語の発音ではどうなのか。ブラジル出身で、栃木県国際交流協会相談員の当山アドリアナさん(48)に聞いた。

 「カタカナにするなら『ホナウド』ですかね」

 ポルトガル語で単語の最初の「R」は「ホ」に近い発音なのだという。途中の「l」は、たしかにブラジルとポルトガルでは発音が若干違い、ブラジルでは「ウ」となるが、ポルトガルでも「ウ」と「ル」の間ぐらいではないか、とのことだった。

 「ロナルド」か「ロナウド」か、はたまた「ホナウド」か-。どう呼ぶべきか悩ましいが、ひとまずはW杯では最後かもしれないスーパースターの勇姿を楽しみたい。

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