2022年12月スタートの国税「Pay払い」利点と注意点をお金のプロが解説

所得税、相続税、贈与税といった国税は、今やコンビニ払いやクレジットカード払いも可能となり納付しやすくなっています。2022年12月からは、新たに国税のスマホアプリ納付が支払い方法に加わります。いわゆる「Pay払い」がスタートし、スマホ決済アプリを使って国税を納付できるようになります。

今回は、国税のPay払いの仕組みと、Pay払いの利点・注意点を解説します。


6つのスマホアプリから国税の「Pay払い」が可能に

2022年12月1日から、国税のPay払いができるようになります。国税のPay払いは、スマホ決済専用のウェブサイト「国税スマートフォン決済専用サイト」から、納税者が利用できるPay払い(◯◯ペイ)を選択して国税を納付する手続きです。

当初国税のPay払いは、2022年1月から始まる予定でした。しかしコロナ禍もあって事業者が決まらず延期。結局、2022年12月からの開始となった、という背景があります。

国税のPay払いに対応しているスマホ決済は、
・PayPay
・d払い
・au PAY
・LINE Pay
・メルペイ
・Amazon Pay(Amazonショッピングアプリ)
の6つです。原則として、国税であればすべての税目の納付が可能です(ただし、印紙を貼り付けて納付する場合など、利用できない税目もあります)。

国税のPay払いはどうやるの?

国税のPay払いは、次の手順で行います。

事前準備

以下のものを用意します。
・納付する税目や金額の分かるもの(確定申告書等)
・Pay払いに利用するスマホ

納付手続

(1)国税スマートフォン決済専用サイトにアクセス
スマホから「国税スマートフォン決済専用サイト」へアクセスします。国税スマートフォン決済専用サイトへのアクセス方法は、次の2つがあります。

・e-Taxからアクセス
e-Taxを利用して申告書等のデータを送信した方は、e-Taxにログインすると確認できる「メッセージボックス」に格納される受信通知からアクセスできます。また、「確定申告書等作成コーナー」で書面による申告書を作成すると出力されるQRコードからアクセスすることもできます。

・国税庁ホームページからアクセス
国税庁ホームページの「スマホアプリ納付の手続」ページにある「国税スマートフォン決済専用サイト」からアクセスします。

(2)国税スマートフォン決済専用サイトで手続き
決済専用サイトが表示されたら、画面の案内にしたがって手続きを進めます。利用するスマホアプリを選択し、氏名や住所、納付する税目や税額を入力。「納付」をタップすると手続き完了です。

国税のPay払いの3つの利点

国税のPay払いには、次のような利点があります。

国税のPay払いの利点1:いつでもどこでも納付できる

国税の納付方法には、現金納付(金融機関・税務署・コンビニなど)、クレジットカード納付、電子納付などがあります。Pay払いならば、お手元のスマホを活用して納付可能。Pay払いを利用するにあたって、事前の申し込みなどの手続きも必要ないので、普段から利用しているスマホアプリでいつでもどこでも納付できます。

国税のPay払いの利点2:決済手数料がタダ

国税をクレジットカード納付すれば、いちいち現金を用意して支払う手間も省けますし、支払いは後払いにできるので便利です。しかし、国税をクレジットカード納付する際には、納付税額に応じた決済手数料がかかります。

【国税のクレジットカード納付の決済手数料(税込)】

1円~10,000円 83円
10,001円~20,000円  167;円
20,001円~30,000円  250;円
30,001円~40,000円  334;円
40,001円~50,000円  418;円

※以後も10,000円を超えるごとに決済手数料がかかる

その点、Pay払いであれば決済手数料は国税庁側が負担。決済手数料タダで利用できます。

国税のPay払いの利点3:ポイントもつく(かも?)

本稿執筆時点(2022年11月22日)では、Pay払いでポイントがつくかどうか、まだ発表がありません。地方税など、他の税金の支払いにスマホアプリを利用した場合には、ポイントがつかないケースもあります。

しかし、朝日新聞の報道 によると「納税額に応じてポイントが付与されるなどのメリットもあるという」とあるため、ポイントがつく可能性も十分にあります。

国税のクレジットカード払いでも、決済額に応じてポイントがもらえます。しかし、前述のとおりクレジットカード払いをすると決済手数料がかかってしまいます。たとえば、還元率1%のクレジットカードで3万円納付して、300ポイントをもらったとしても、決済手数料が250円かかるため、実質的には50円分しかお得にならないのです。

その点、Pay払いならば、たとえ0.5%還元だったとしても、3万円納付すれば150ポイントですから、クレジットカードの場合よりもずっとお得になります。これまでクレジットカード払いを利用していた人も、Pay払いに一気にシフトすることでしょう。

国税のPay払いの3つの注意点

国税のPay払いは便利な反面、注意しておきたいこともあります。

国税のPay払いの注意点1:スマホアプリへのチャージが必要

スマホ決済の支払い方法には、銀行口座やクレジットカードなどからチャージしたお金を支払う方法と、スマホ決済に紐づけたクレジットカードから支払う方法があります。しかし、国税のPay払いは、チャージしたお金を支払う方法(アカウント残高を利用した支払い方法)しか利用できません。国税をPay払いするならば、事前に対象のスマホアプリにアカウント登録し、残高にチャージしておかなければなりません。

国税のPay払いの注意点2:利用上限金額は30万円

国税のPay払いで納付できる利用上限金額は30万円となっています。また、利用するスマホアプリの設定によっては上限金額があるため、より少ない金額が利用上限金額となる場合もあります。

クレジットカード払いは1,000万円未満まで納付できることを考えるとずいぶん少ないと思われるかもしれません。税金によっては、30万円を超えることもあるでしょう。その場合は、Pay払いは利用できないので注意しましょう。

国税のPay払いの注意点3:領収書は発行されない

国税のクレジットカード払いでも同様なのですが、Pay払いで国税を納付しても、領収書は発行されません。Pay払いで納付した内容は「納付手続の完了」画面から納付内容をダウンロードするか、「納付情報の入力」画面で登録したメールアドレス宛に届く納付手続完了メールを見ることで確認できます。納税証明書は納付日の約1週間後から納税証明書が発行できるようになります。

Pay払いで納付した場合は、領収証書は発行されませんので、領収証書が必要な場合は金融機関等の窓口やコンビニエンスストアにて納付するようにしましょう。

2022年12月1日に国税庁のウェブサイト で「国税スマートフォン決済専用サイト」がオープン。合わせてスマホアプリ納付Q&Aも公開される予定です。国税を自分で納める予定のある方はぜひチェックしてみましょう。いずれにせよ納める必要のある国税です。国税のPay払いが少しでもお得・便利になるのであれば、ぜひ活用しましょう。

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