富良野「邪神ちゃん」決算 本会議で〝逆転認定〟制作側は「ファンに安心してもらえる」と安堵

富良野市議会が30日の本会議で、ふるさと納税で制作費を集めたアニメ「邪神ちゃんドロップキックX」(邪神ちゃん)富良野編の制作委託料3300万円を含む2021年度一般会計決算について、15日の決算審査特別委員会での不認定から一転して認定したことを受け、アニメ「邪神ちゃん」の制作委員会が、よろず~ニュースの取材に応じた。

「邪神ちゃん」製作委員会側はYouTubeで配信されていた本会議の様子を固唾を飲んで見守っていたという。〝逆転認定〟に、「邪神ちゃん」宣伝プロデューサー・柳瀬一樹氏は「応援してくれるファンの皆さんに安心してもらえるなと思いました」と安堵した。

15日の決算特別委員会では、借金返済のため主人公・邪神ちゃんが臓器売買を提案される場面が「不適切」「富良野のイメージを落としかねない」などの指摘を受け、採決は認定7・不認定7の同数となり、委員長が不認定を決めたと報じられた。本会議の採決は、特別委の審議に参加していない議長と監査委員を務める議員を加えて実施。認定8・不認定8の同数となり、黒岩岳雄議長の裁決で認定された。

製作委員会は不認定を受け、YouTube等で富良野編の1週間限定無料配信と「映像視聴後の富良野のイメージについて」を問うアンケートを16日から1日間実施。公式ツイッター発信のため、ファン票が多い前提もあるが、合計10万人以上の93%超が富良野のイメージが向上したと意思表示した。柳瀬氏は「アンケート結果などがマスメディアにピックアップされたことは、『邪神ちゃん』を応援してくれる富良野市さん側の発言の裏付けにもなっていました」と手応えを語った。

一方で、不認定を主張する議員から「町への誘致が足りない」という指摘を受けた。同様にふるさと納税で制作費を集った南島原市では、邪神ちゃんが描かれたマンホールの設置やラッピングバスが走行。帯広市・釧路市についてはそれぞれ現地でイベントを実施したが、富良野市だけは現地施策を実施できていなかった。柳瀬氏は「ご指摘については私もごもっともだと思いました。今後富良野市さんと協力しながら、ファンの皆さまが現地を訪れたくなるような企画を考えていきたい」と前を向いた。

(よろず~ニュース・松田 和城)

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