「何をもって虐待なのか、保育者自身が分かっていない」なぜ、園児虐待が起きたのか 専門家に聞く—静岡・保育士園児虐待問題

静岡県裾野市の私立保育園で虐待が発覚したのが、2022年8月なのに対して、保護者説明会が開かれたのが11月30日夜、さらに、職員への“口封じ”ともとれる対応は、不誠実といわざるを得ません。

では、今回の問題行為の理由は明らかにされていませんが、“一般的に保育施設での虐待はなぜ起こるのか”、“防ぐためには何が必要なのか”、専門家に聞きました。

静岡県立大学短期大学部の副島里美准教授は、一般的な、保育者による虐待の要因について、多忙な業務の中、ストレスの矛先が子どもに向いてしまうことと、“倫理観の欠如”を挙げました。

<静岡県立大学短期大学部 副島里美准教授>

「何をもって虐待なのか、保育者自身が分かっていないことがすごく多い。園内でそういったものをして、当然みたいな雰囲気になってしまうことが大きな原因」

対策としては、マニュアル作りや研修会の実施だけでなく、ストレスの軽減や周りの職員の虐待を報告できるよう、風通しのいい環境をつくることが重要と指摘します。

<副島准教授>

「困ったこと、相談したいことを言えて信頼できる上司、同僚、先輩がいる必要がある」

一方で、「身近な大人に好かれたい」という思いから虐待されていることを家族にいえない園児もいるということで、保護者には「子どもの様子を注意深く観察してほしい」と訴えます。

<副島准教授>

「大人の顔色を伺うような様子が見受けられたり、登園をしぶったりというのがあれば、何かあるんじゃないかという風には、思っていただきたい」

副島准教授は、たとえ1歳児でも、何らかのSOSの発信はあると話します。いま一度、子どもの様子を丁寧に見守っていただきたいですし、保育施設にも、あらためて「信頼された上で大事な子どもを預かっている」という自覚を強く持ってほしいと思います。

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