北陸電力が家庭向けを含む規制料金で平均45.84%の値上げを国に申請した11月30日、福井県内の一般家庭や個人事業主らからは「物価高でも苦しいのに、さらに厳しくなる」「生活費の節約はもう限界」などと、今後の家計や経営への負担増を嘆く声が相次いだ。
国は来年1月に電気料金を約2割引き下げる負担軽減策を導入する方針だが、北陸電の申請が認められれば、4月以降は国の支援を加味しても、実質2割前後の値上げは避けられない。
福井市の生花店の店長(72)は「電気代の値上げは大きな打撃」と頭を抱える。店内は生花の品質維持のため、冷蔵庫やエアコンを1年の大半稼働させている。「肥料や鉢植え、リボンなどの仕入れ価格が値上げ予定で、新型コロナウイルス禍の影響も残っている。電気代の値上げで家庭の節約が進むと、花を買う人も少なくなる」と声を落とした。
「売り上げの3分の1を電気代に支出している」とする同市内の銭湯の経営者(71)は、節電のためサウナを停止するなど努力してきた。今回の値上げ申請には「これだけの上昇幅だと営業しない方がいいくらい」と険しい表情。「国や県は負担軽減策の継続や拡充を考えてほしい」と求めた。
同市の海鮮料理店の経営者は「ここまで値上げするとは思ってなかった」と驚いた様子。食材などの仕入れ価格も上昇しており「飲食業界は客数が新型コロナ前まで戻っていない。これ以上支出を減らそうと思うと、営業時間の短縮や販売価格の見直しを迫られる」と話した。
⇒一般家庭のモデルケースで月2500円以上の増額か
家庭向け電気料金について北陸電は今回の値上げ申請に加え、オール電化住宅対象の夜間割引メニューなども12月中に値上げを発表する予定だ。
福井市のエルパを訪れていた坂井市の60代無職女性は「年金暮らしで収入が上がらないのに、数千円単位で電気代が上がるとしんどい。食材も高くなっているし、何を切り詰めたらいいのか分からない」と嘆いた。2歳の娘と一緒に買い物をしていた鯖江市の30代会社員女性は「子育てしていると節約にも限界がある。オール電化住宅なのでさまざまな対応を考えないと」と話した。