DTMを運営するITRの解散が正式決定。シリーズの今後についてはADACとの交渉を継続

 DTMドイツ・ツーリングカー選手権の運営会社であるITRが解散し、長年にわたって務めてきた同シリーズのプロモーターを続けないことが明らかになった。

 既報のとおり、ITRがADAC(ドイツ自動車連盟)と選手権の買収の可能性を含めて交渉を進めているなか、DTMの将来は疑問視されていた。

■「DTMブランドには未来があるはず」とゲルハルト・ベルガー

 ミュンヘンにベースを置くプロモーターに属する17名の従業員には、『秩序ある方法で解散する』ことが伝えられているという。

 ただし、これがただちにDTMシリーズ自体の消滅を意味するわけではない。ITRから提供された声明の中で、同社のゲルハルト・ベルガー会長は、解散が確定したいまも、ADACとの話し合いは続いていると述べている。

「ADACとの話し合いは非常に建設的だが、まだ最終的な決定はない」とベルガーは述べている。

「しかし、我々は企業としての責任を負っているので、いますぐ明確にする必要があった。2023年にITRがDTMのプロモーションを行わないことを決定したのだ」

 ベルガーは、この決定の動機は財政的なものであるとしながらも、新しいオーナーのもとで選手権が存続する可能性があることを強調した。

「この一般的な状況を背景に、多くの課題を考慮すると、来年の経済的リスクは高すぎる」とベルガー。

「チーム全員がDTMの成功のために懸命に働いてきただけに、個人的には非常に残念だ」

「だが、ITRがなくなったとしても、ADACにおけるDTMブランドには未来があるはずだ。だからこそ、我々はまだADACと対話を続けている」

 ベルガーは、ハンス・ベルナー・アウフレヒトに代わってITRの会長に就任した2017年から、シリーズを統括していた。

 オーストリア人のリーダーシップの下、DTMはクラス1規則に代わってGT3規則を導入し、その結果、シリーズに参加するチームやメーカーが増加、COVID-19の大流行による衰退期から脱却する勢いを見せていた。

ITRのチェアマンとしてDTMシリーズを率いてきた、元F1ドライバーのゲルハルト・ベルガー
2022年DTMのドライバーズタイトルを獲得したシューベルト・モータースポーツのシェルドン・ファン・デル・リンデ

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