防犯ボランティア1000団体割れ 安全活動に高齢化の波 今市事件発生から17年

下校児童を見守る防犯ボランティア団体の会澤さん=30日午後3時、宇都宮市南大通り2丁目

 2005年に栃木県日光市(旧今市市)の女児=当時(7)=が殺害された今市事件を契機に県内で発足した防犯ボランティア団体は昨年、991団体となり、ピーク時の11年の1424団体から約3割減少したことが30日までに、県警のまとめで分かった。14年ぶりに1千団体を割り込んだ。県警は構成員の高齢化などを要因とみる。少ない負担でできる活動として、日常生活で安全に目を配る「ながら見守り」の普及に力を入れる。今市事件は1日、発生から17年を迎える。

 「信号が変わるよ。早く渡って」。30日午後、宇都宮市簗瀬小前。防犯ボランティア団体「簗瀬地区防犯協議会」の会澤正巳(あいざわまさみ)さん(70)が黄色い旗を手に下校児童を見守っていた。

 同会は登下校の見守りや青色回転灯装着車でのパトロールなどを行う。自治会から構成員を選出することで約70人の人員を維持する。しかし会澤さんが所属する別の団体は高齢化などにより構成員がピーク時の半数以下に。「いつまで続けられるか…」。自身も体力的な面で不安が募る。

 県警によると、県内の団体数は今市事件後に急増したが、12年以降は減少傾向にある。構成員数もピークだった11年は10万261人に上ったが、昨年は5万5116人と45%減少した。

 県警は構成員の高齢化や夫婦の共働きの増加、人口減少などが減少の要因とみている。今市事件の発生から17年となる中、生活安全企画課の福田亮(ふくだりょう)課長補佐は「事件が風化し、危機意識が薄くなることが一番怖い」と危機感をにじませる。

 ボランティアの負担軽減と子どもの安全確保の両立に向け、県警は通勤や買い物などの日常生活の傍らで地域を見守る「ながら見守り」を推奨。自治体と連携した広報活動や地域、企業での講習会などを企画し、県民に協力を求めている。

 福田課長補佐は「子どもが1人になる時間をなくすため、庭掃除やごみ捨てを登下校に合わせるなど、『ながら見守り』を意識してほしい」と呼びかけている。

県内の防犯ボランティア団体数と人数の推移

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