食品ロス、ごみ問題に挑戦し続ける大分商業高校商業調査部

簿記やマーケティングなど商業科で学ぶことを生かせる場として活動を始めた大分商業高校商業調査部。数年前からは地域に根付き、継続できる活動に取り組んでいる。顧問の山下智史教諭は「自分たちに何ができるのかを考え、自治体に勉強に行った。そこで生徒たちが、ごみ問題に着目して本格的に取り組むようになった」と話す。

その着眼点から生まれたアイデアが『透明ごみ箱』だった。ごみ箱の中が見えるようにすることで、ごみ削減はもちろん、分別やリサイクルの意識を高めたいと作製した。その評判はすぐに広がり、昨年から大分市内の大手コンビニエンスストアに設置された他、佐賀市役所のボランティアグループの目に止まり、現在はJR佐賀駅周辺にも設置されている。

多くの反響があった「透明ごみ箱」は大分県教育奨励賞を受賞

ごみ問題に取り組むことで「食品ロス」について考えるようになり、商品として出荷できない規格外の県内産トマトを使ったオリジナル商品『とまドレ・とまソース・とまみそ』も誕生した。廃棄されるトマトを使うことで環境問題、SDGs(持続可能な開発目標)にもつながるこの取り組みは「大分県高等学校商業研究発表会」で最優秀賞を獲得。九州大会では優秀賞(3位)となり、全国大会への出場を決めた。副部長の渡辺光稀(3年)は「商品販売はコロナ禍で2年間できなかったが、ようやく商品化できてうれしい。関わっていただいた企業や関係者の皆さんのおかげ」と周りへの感謝を述べた。

地域の環境問題に真剣に取り組み、商品開発やパッケージデザインまで手がける商業調査部。「次は廃棄ピーマンを使用した加工品の準備をしている。3年生が商品化した姿を見て、1年生も刺激を受けた。今後も生徒たちの自主性を大切に長く継続できる活動を続けていきたい」と山下教諭。これからも高校生が社会問題に目を向け動くことで、さまざまな問題提議や解決法を大分から全国へ発信していく。

トマトを使ったオリジナル商品は県内のイオングループ店舗で販売されている

(塩月なつみ)

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