2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標「SDGs」。
さまざまな企業や団体がSDGsの目標達成に向けて行動していますが、社会の作り手を育てようと、ある企業が動き始めています。
今回ご紹介するのは、東京都板橋区にある西谷工業株式会社。
建物の壁や床、土塀の左官工事を行っている会社です。
11月末、左官の最前線を支えてきた西谷工業が、千葉県市川市にある市川工業高校で出前授業を行いました。
青空の下、「左官について知ろう!」と張り切ってワークショップを行う柳田社長。
左官という仕事はどんなものなのか、建物を完成させるうえでどのくらい大切なものなのか。そして、その左官職人たちが年々減少傾向にあることを学生たちへ伝えていきます。
そして実際にコテを使って、左官の職人技を披露します。
学生たちもそんな姿に興味津々です。
学生たちも、職人さんたちに教えてもらいながら左官の技を体験。
実際に体験することで、左官の難しさに直面し、「左官」という職業について触れ、理解を促していくことができるのだそう。
「簡単そうに見えたが、実際にやってみるとできない!」と話す学生たち。
難しいと言いながらも、真剣な眼差しで目の前の壁を塗る姿が印象的でした。
自分たちが普段使っている建物が、「左官」があって成り立つこと、またその担い手が少ない現状についてを学んだ学生たち。
この出前授業を通して左官という職業について知るきっかけとなっていました。
◆ 働く職人たちにも変化が
この出前授業を通して、「1人でも多くの人に左官を知ってもらい、担い手を育てていくことを目標にしている」と語る柳田社長。
学生たちに、自分の仕事・技術を教えることで、職人たちは自分の仕事に誇りを持つようになり、新しい価値観をインプットする事ができ、刺激を受けているといいます。
◆ 出前授業がきっかけで
西谷工業が市川工業高校で出前授業を行うのは、今回で3回目。
この出前授業がきっかけで入社を決める学生が多く、担い手が減少傾向にある業界にも関わらず、西谷工業には毎年新入社員として若手が入社しています。
田外さんもその1人。田外さんは、市川工業高校の卒業生。
「こうして出前授業を母校でできるのはとてもいい経験です」と話していました。
この出前授業を通して、将来、社会の作り手となる学生たちが左官という職業に触れ、さらに左官職人たちも自分を振り返り、学ぶきっかけになります。
一方通行でなく、そういった良いループが出来ているように感じました。
西谷工業 柳田社長
「出前授業を行うことで、高校生たちから良い刺激をもらっている。会社にとっても新しい風が吹いているように感じるし、良い文化が出来ている」