「にげるは生きる」伊江島の戦争体験者の証言を次世代に 復帰っ子世代「結515」が制作した映画が完成

 1972年生まれの「復帰っ子」世代の有志でつくる団体「結515」(比嘉盛也代表理事)は11月29日、那覇市のクニンダテラスでクラウドファンディングの支援金で製作した映画「にげるは生きる 結どぅ宝」の完成報告会を催した。戦争体験者の証言を次世代に語り継ぐ内容だ。比嘉代表は「戦争体験者から話を聞ける時間は限られている。協力してくれた伊江島の方々のメッセージを多くの人に伝えたい」と話した。

 映画製作にはクラウドファンディングで集まった支援金722万4千円のうち、335万円を充てた。

 伊江島に足を運び、戦争体験者8人による座談会や証言を収録した。戦争体験者の「当時は逃げることは恥ずかしいことだと思ったけど、結果的に逃げてきて幸せだった。逃げるは生きるだよ」との言葉を映画のタイトルにした。比嘉代表は「なぜ生き残ることができたのかを伝える映画だ。伊江島のおじーやおばーの体験を真実として未来に残したい」と思いを語った。

 今年度中に映画データを県内の全小中高校に配布する計画だという。パソコンなどの再生事業を行う東京都のリングロー社と共に、県外での上映会も予定している。

 同日、クラウドファンディングの支援金各40万円と、県内の高校生団体「Lux」からの寄付金各22万円を、子どもやひとり親支援に携わるタコライスラバーズ(山川宗徳代表理事)と「女性を元気にする会」(ゴージャス理枝代表)に贈呈した。クラウドファンディングの残金は返礼品やイベントに支出するという。

 (赤嶺玲子)

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