海老名の国指定史跡「相模国分寺跡」 隣接地に高層マンション計画 景観懸念の住民らが見直し訴え

相模国分寺跡で見られる「七重塔」の跡。奥にマンションが建設される予定=9月、海老名市国分南

 神奈川県海老名市の国指定史跡「相模国分寺跡」(同市国分南)の隣接地に、高層マンションの建設が計画されている。都市計画法や市条例などの基準は満たしているが、景観への悪影響を懸念して近隣住民らが高さを低くするよう計画の見直しを訴えている。

 国分寺は、741年、聖武天皇の「国分寺建立の詔」を受けて全国60カ所余りに建設された国分寺の一つ。七重塔の跡などが残っており、1921年に国史跡に指定された。今は歴史公園として整備、公開され、市民の憩いの場となっている。

 建設するのは、マンション大手「明和地所」(東京都)。計画では、同寺跡南側に隣接する2100平方メートルの敷地に計47戸が入居する建物を建設する。白が基調で、西側は14階で高さ43メートル、東側は最大4階相当となっている。既存の2階建と3階建の二つの建物の解体工事は終え、本体工事は2023年2月から25年1月末の予定だ。

 周辺は一定の基準を満たせばマンション建設が可能な「第一種住居地域」。市景観推進計画は、国分寺跡を「歴史的景観資源」と位置づけ、色や形状など配慮し「景観的な調和」を求めるが、高さは制限していない。近くに住む西田盛久さん(80)は「見晴らしのいい景色も含めて史跡なのに、14階建の建物が建つと史跡の価値を損ねる」と懸念する。

 一方、明和地所は「事業採算性を考えると高さは変えられない。デザインも周辺環境を考慮しており、景観を損ねるとは考えていない」と話す。同社はこれまで市住みよいまちづくり条例に基づく住民説明会を3回開いたが、住民の理解は得られず、両者の意見は平行線をたどっている。

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